2013 Fiscal Year Research-status Report
外国人労働者の技能移転に関する研究~衣料・機械産業の中国人技能実習生の事例から
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24530661
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
上林 千恵子 法政大学, 社会学部, 教授 (30255202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津崎 克彦 四天王寺大学, 人文社会学部, 講師 (00599087)
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Keywords | 外国人技能実習生 / 技能移転 / 岐阜県縫製業 / 上田市機械金属業 |
Research Abstract |
2013年は、前年度に引き続き岐阜県で縫製業の技能実習生の調査を実施した。岐阜県の技能実習生は景気回復に伴って受入数も復活してきているが、縫製業自体の海外展開は止まらず、過去の受け入れ事例から従来まで技能実習生を受け入れていた企業を探しても、その企業自体が存続していないケースがみられた。 また、岐阜県日中友好協会を訪問して岐阜県の技能実習生受け入れ経緯をヒアリングしたところ、戦争を交わした中国から労働力として中国人技能実習生を受け入れをするにあたり、中国人殉難者(強制連行の結果、日本で死亡した中国人)の遺骨収集をして中国に返還し、日本側の誠意を見せて初めて友好関係が結べたことがわかった。日本が経済的理由から中国人技能実習生を受け入れたいという要望を示し、それを実行するために、友好関係が必要とされ、それを築くために相当の努力が払われてきた、という事実は、経済的な労働力の需給関係だけでは説明のつかない、複雑な外交関係が存在していることが分かった。 一方、機械金属業での技能実習生受け入れは、長野県上田市周辺地区に焦点を当て、事前調査を行った。当該地域は、技能実習生よりも日系ブラジル人の雇用で有名な地域である。景気後退に伴い、多くの日系人は上田地域から帰国ないしは群馬県などの他の日本の地域へ移動していた。相対的に技能実習生の役割が増加していた。日系人と技能実習生との企業内役割に変化があるかどうかは、2014年夏に実施予定の調査結果を待つ予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上田市調査は、2013年度実施予定であったが、現時点ではパイロット調査しかできておらず、本格的調査は2014年度となった。
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Strategy for Future Research Activity |
上田市機械金属業は、全国的には日系ブラジル人の雇用で有名であったが、リーマンショック後、その人数は減少したこと、また企業自体も海外へ展開して雇用の空洞化が起きている、という事実は確かめられた。本年度は、日系人と技能実習生との補完あるいは代替関係の在り方、今後の労働力確保施策として、日系人か、技能実習生か、あるいは海外移転か、の3つの方針のどこに企業の力点が置かれているかを探る。 その上で、安価な女性労働力の依存してきた歴史を持つ縫製業と、国内出稼ぎ労働者と非正規雇用の日系人に労働力を依存してきた機械金属業とを比較し、必要とされる技能レベルの差異、必要とされる労働力類型とそこに該当する外国人労働力類型、技能移転の内容等の諸点をまとめていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は機械金属業の技能実習生受け入れの調査が本格的にできず、予備調査に留まったために、予算使用に残額が発生した。そのため次年度に上田市および坂城町で本格的に調査を実施する予定でいる。 調査旅費および滞在費
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