2012 Fiscal Year Research-status Report
滞日ムスリムに関する住民意識の三地域比較調査研究と多文化政策再考
Project/Area Number |
24530669
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
店田 廣文 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20197502)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 滞日ムスリム / イスラーム / 地域住民 / 外国人 / 日本社会 / 国際社会 / エスニシティ / 移民 |
Research Abstract |
2012年度は、福岡市東区を対象として、日本人住民から見たムスリムを含めた外国人と地域社会との関係と住民意識の把握を主な目的として、モスク周辺地区に居住する男女1000人を対象者とし、2012年10月から11月にかけて、「外国人住民との共生に関する意識調査」を実施した。調査結果によると、ムスリムとの交流や受け入れに慎重な意識を持ったり、イスラームへの否定的なイメージが窺われたが、一方で、肯定的なイメージもけっして少なくないことも窺われた。有効回収数は、326であった。 同市には福岡モスクが2009年に開設され、滞日ムスリムは九大の留学生が多く含まれ、モスク建設にあたっては、地域社会との話し合いを経て、建設が実施されたため、周辺住民との関係性にこうした経過の影響が予想されたが、現時点での分析では、その効果は、はっきりとは見えていない。現在、報告書を執筆中であり、2013年5月刊行予定である。また、5月には、日本中東学会(於:大阪大学)にて調査結果の研究発表を行う予定である。 その他の成果として、第5回全国マスジド(モスク)代表者会議を2013年2月に開催したこと、2012年5月に日本中東学会(於:東洋大学)にて本研究に先行する射水市調査の研究発表を実施したこと、および射水市調査の報告書を2012年4月に刊行したことをあげられる。 このほか本研究に関連するものとして、日本人のイスラム認識を探る調査の新たな展開の構想がある。海外在住の日本人のイスラム認識に関する調査の企画を構想して、マレーシアでの調査の可能性を現地の日本大使館や日本人会とともに検討している。種々の事情のため、今のところ、実現の見込みはたっていないが、引き続き、検討を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には、福岡県福岡市における質問紙調査をほぼ予定通り、10月から11月にかけて実施できた。データの入力と集計は完了して、第一次の分析をおこなった。第一次報告書の作成は、平成25年4月末現在、ほぼ完了しており、5月に刊行予定である。また、これらの結果を含めて、研究代表者および協力者、あわせて3名が日本中東学会第29回年次大会にて、三本の研究発表を予定している(2013年5月12日、於:大阪大学豊中キャンパス)。
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Strategy for Future Research Activity |
2009,2011,2012年度において、3つの地域における調査を実施してきた。これら、岐阜市調査、射水市調査、、福岡市調査という、日本人住民から見たムスリムを含めた外国人と地域社会との関係と住民意識の把握を主な目的とする3つの調査結果のボンドサンプルや、地域間の比較分析などを、進めるとともに、個別調査の分析を以下の通り、予定している。すなわち、岐阜市調査については、多変量解析などによる二次的分析を実施し、学術論文などとして発表しているが、射水市、福岡市調査のデータについても、同様の分析を実施する。この過程で、3地域の自治体やモスクを対象とするインタビュー調査など補足調査も実施する予定である。 このほか、海外在住の日本人のイスラム認識に関する調査企画について、更に実施の可能性について検討を進める。なお、福岡市においては、住民向けの調査結果報告会を開催する計画が進行中であり、2013年夏には、実施する予定であることを、福岡市役所には連絡して調整中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、当初の予定通り、これまで行ってきた日本人のイスラム認識に関する一連の調査結果の分析とまとめを行うことに使用される。 具体的には、これまで、実施してきた調査の補足調査として、3地域の自治体やモスク等におけるインタビュー調査などのための研究出張も予定している。また、これまでの研究を総括し発表するための学会発表の出張旅費や、調査結果の分析のための費用や報告書などの刊行に当てる予定である。
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