2012 Fiscal Year Research-status Report
定量的・定性的分析を併用した日本の国際結婚カップルをめぐる家族形成の包括的検討
Project/Area Number |
24530676
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
竹下 修子 愛知学院大学, 文学部, 教授 (60454360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 義孝 京都大学, 文学研究科, 教授 (30115787)
花岡 和聖 東北大学, 学内共同利用施設等, 助教 (90454511)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際結婚 / 家族形成 / 移動パターン |
Research Abstract |
平成24年度は、以下の3点を中心に研究を行った。 第1に、国際結婚カップルの家族形成に関する内外の既往文献のレビューを実施し、これまで得られている成果に関する到達点と問題点の整理を行った。その結果、国際結婚の圧倒的多数を占める夫日本人・妻アジア人の組み合わせにおいて、1990年末ごろまでの既往研究では、アジア人妻は「農村花嫁」という呼称にイメージされる「弱者」「犠牲者」として描かれることが多かったが、2000年代に入ると「結婚移住女性」という呼称を用いて、主体的な行為者としてとらえる研究が増加していることが明らかになった。しかし、一方で、国際結婚カップルの家族形成における地域差を考慮した研究が進んでいないことが浮かび上がった。 第2に、外国人ムスリムを夫にもつ日本人女性が集う各地のモスクや個人宅でのインタビュー調査を実施した。その結果、外国人ムスリムと日本人女性の国際結婚カップルにおいて、関東地方は東海地方よりも5年ほど早く、1980年代前半から外国人ムスリムが流入しているため、日本人女性との結婚や日本での家族形成、および子どものイスラーム教育を中心とする家族の問題も早くから生じていることが明らかになった。国際結婚カップルの家族形成を研究するうえで、地域差を考慮することが不可欠であることを確認した。 第3に、平成22年国勢調査統計データの二次利用の申請を総務省統計局調査企画課に対して行った。3月末に予備審査を通過しており、現在、本審査の結果待ちである。国勢調査統計データの分析方法や研究の役割分担については、科研のメンバー全員で話し合いをしており、二次利用の許可がおりたら直ちに定量的分析に着手する準備が整っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画は、おおむね順調に進展している。 まず、国際結婚関連の文献レビューを行い、竹下が"Intermarriage and Japanese Identity"としてまとめた。この論文は、E. Healy編集の共著Creating Social Cohesion in an Interdependent World: the Experiences of Australia and Japanに掲載され、平成25年にオーストラリアで出版予定である。 また、計画では、平成24年度に国勢調査統計データの提供を受ける予定であったが、総務省統計局における二次利用申請の受付が、本計画の予定より遅くなったため、定量的分析を平成25年に先送りすることとなった。その代わりとして、定性的分析を前倒しで実施し、各地の国際結婚家族を対象にインタビュー調査を実施した。 本科研のメンバー間で、研究の進捗状況を随時メールで報告し合い、情報交換を行っているほか、平成24年は科研集会を2回開催した。第1回科研集会は、代表者である竹下の所属先である愛知学院大学にて平成24年9月28日に行い、石川と竹下が、それぞれ研究発表を行った。その後、今後の研究計画について話し合った。第2回科研集会は、分担者である石川の所属先である京都大学にて平成25年3月8日に開催し、花岡と竹下がそれぞれ研究発表を行い、その後、平成24年度の研究のまとめと、平成22年国勢調査統計データ二次利用に関する話し合いをし、分析方法や研究の役割分担を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前倒しで行っている国際結婚家族へのインタビュー調査に加えて、平成22年国勢調査の個票データの分析を行う。 具体的には、国際結婚カップルおよびその同居家族メンバーに対し、平成22年の国勢調査時点の常住地が、5年前の常住地の住所と異なっている人を移動者とみなし、平成12年国勢調査の個票データを用いた石川義孝(本科研の分担者)編『人口減少と地域』(京都大学学術出版会、2007)の第9-11章で行った分析と同一の分析を行う。その分析結果を用いて、国際結婚カップルの家族形成に影響を与える移動パターンを、1995-2000年と2005-2010年で比較し、過去10年における変化を明らかにする。 また、国際結婚カップルの家族形成の各段階を該当カップルの選択結果とみなし、それを説明する多項ロジットモデルを適用する。 国際結婚家族へのインタビュー調査に関しては、国勢調査の質問項目に含まれていない、外国籍家族員の来日時期、来日時の在留資格、外国籍家族員の父親の職業や社会階層、日本での生活の不満な点、自治体や国への要望、日本での定住や永住への意向などについて、引き続き調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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