2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530682
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
筒井 淳也 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90321025)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 女性労働 / 公的雇用 / 少子高齢化 |
Outline of Annual Research Achievements |
H24年度(2012年度)に行った公的雇用とワーク・ライフ・バランスについての統計データを用いた分析から、公的雇用には一定のメリットがありながらも、働き方の柔軟性の面で一定のデメリットがあることを明らかにした。H25年度(2013年度)では別の角度から公的雇用と女性労働の関係を分析してきた。H26年度(2014年度)ではこの分析方針を継続し、さらに成果として世に問う作業を行った。結果として、OECD諸国のマクロパネルデータの分析から、公的雇用と女性労働とのあいだには一定のプラスの関係があることを明らかにすることができた。 以上の成果は、主にH27年度5月に出版される『仕事と家族』(中公新書、出版確定)に掲載される。 先行研究によれば、女性が公的に雇用されることによって女性の安定雇用が促されるが、他方で人的資本を一定としたとき、民間企業で働く場合よりも賃金率が抑制される傾向にあることが示されていた。したがって本研究で示された女性労働力率と公的雇用の関係は単純にポジティブに受け入れることはできない。特に少子高齢化社会において正負の税・社会保障収入を維持するという目的から女性の労働力を活用するということを考えた場合、公的雇用による女性の雇用は(税負担の増加を意味するために)デメリットが大きい。他方で、公的雇用による女性の安定雇用は、ワーク・ライフ・バランスが比較的容易な共働き夫婦の増加に貢献し、少子化対策としては意味を持つ。 以上のように、女性の公的雇用は日本の現状においていくつかの意味を持ちうる。本研究は、そのありうる帰結を整理できたという点で一定の成果を上げた考える。
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