2012 Fiscal Year Research-status Report
自治体における次世代育成支援対策の地域的特性に関する多分野横断型研究
Project/Area Number |
24530706
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
望月 彰 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (40190954)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子育て支援 |
Research Abstract |
本研究は、2002~2005年に実施された科研費研究「男女共同参画社会を支える地域子育て支援ネットワークに関する学際的基盤」(課題番号13420123、研究代表者:村山祐一)とこれに続く2007~2010年に実施された科研費研究「格差社会における子育て支援ネットワークのあり方と保育者の役割に関する総合的研究」および2008~2011年度に実施された科研費研究「格差社会における自治体の子育て支援に関する他分野横断型研究」(課題番号 20653034、研究代表者:望月彰)を継承し、いわゆる「子育ての困難」が進行している状況の下で取り組まれている子育て支援のための諸施策・実践の発展に寄与する基礎的データの継続的な収集・分析と見通しの提起をめざしている。 2012年度は、第一に、4回にわたる研究打合せ合宿において、これまで本研究に直接継承されている先行調査研究で蓄積されたデータ、特に、前研究によって得られた全国約1800自治体(市区町村)における「次世代育成支援」に関する施策の実施状況をデータに基づいて分析した。 第二に、本研究では、その分析に基づいて次世代育成支援に顕著な実績をあげている自治体等を抽出し、より詳細な地域調査を行うことを目的としていることから、抽出の視点・指標等、地域特性に応じた調査研究課題の焦点化・厳密化を図るための検討作業を行った。 第三に、その作業と並行して、多くの自治体が課題としている「孤立しがちな家庭」に対する支援のあり方に焦点を当てて、モデル的に大阪府H市における子育て支援事業の展開状況・課題等について予備調査を実施した。検討の結果得られた個々の成果については、共同研究者の中の一定メンバーにより学会発表、研究論文、保育者対象の研修会報告等の形で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度の課題は、本研究共同研究者を中心にこれまで蓄積されてきた「子育て支援」に関する調査研究の成果を、数回の研究打合せ合宿において集団的に分析し、本研究において計画されている個別具体的な「地域調査」の課題の焦点化・厳密化を図ることにあった。研究打合せ合宿は、年度内に4回もたれ、全体として課題の焦点化・厳密化に向けた議論が展開できた。 これまでの全国調査研究のデータ分析から、「孤立しがちな家庭」、「支援の行き届かない家庭」、「支援を拒む家庭」などが、いずれの市町村および保育所等子育て支援機関でも課題として自覚されており、同時にそうした家庭への支援のあり方に見通しを持ち得ないでいることが浮き彫りになった。 本研究では、本研究が継承する先行調査研究でも関連調査研究として実施した大阪府H市における地域調査を行うことができた。そこでは、次世代育成支援行動計画において取り組まれている諸事業について、市域全般ではなく市内各地域ごとのレベルで、保護者の立場からの実際的な効果や課題を明らかにすることができた。 本研究は、「子育て支援」の現状と課題を明らかにするという一貫した目標を掲げ、2002年から継続的に調査研究を蓄積しており、今後もさらにこれを進めていく予定である。そのため、次の調査研究活動を担う共同研究者の確保と研究課題の継承・共有化を研究活動遂行上の課題として位置づけていた。この点では、新たに4名の若手研究者を連携研究者として確保し、研究打合せ合宿において課題の共有化等ができたことは貴重な成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、研究打合せ合宿において本調査である全国規模の地域調査の実施計画を具体化し、年度内に調査を実施する。当面の研究打合せでは、調査項目の厳密化と調査日程および集計・分析の日程等について計画を具体化する。なおそのさい、研究開始当初に予定していた研究体制について、その後の状況の変化(政権交代や社会情勢の変化等に付随する子育て支援に関する政府施策の展開、連携研究者の所属や業務内容の変化その他の状況の変化)に応じて、これを見直し、より効果的な研究推進体制の確立を図る。年度後半には、調査結果の集計作業を行い、研究打合せ合宿において分析・考察の方針について検討する。 2014年度においては、役割分担を決めて調査結果の分析を行うとともに、研究打合せ合宿において分析結果の共有化と考察を行う。そのさい、必要に応じて本研究の共同研究者以外から専門的知見の提供を得るための研究会を実施する。 2015年度においては、本調査研究で得られた成果を先行研究の成果をふまえつつ総合的に検討する。また、全国自治体の次世代育成支援行動計画に関する報告書類を収集して、本研究での地域調査の結果と照らし合わせながら考察を進める。 本研究が継承している先行研究の分析・討議を並行して進め、学会等においてその成果の発表を追求する。また、研究成果の公表については、役割分担に基づき、分析・考察が進んだところから個別の成果発表を追求するとともに、本研究等で得られた総合的な知見を単行本として発行することを追求する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用使途としては、第一に、前年度と同レベルの研究打合せ合宿を行うための旅費として、約60万円が必要となる。第二に、本調査の実施に伴う印刷費、郵送費および発送・集計作業のための人件費として、約40万円を見込んでいる。第三に、集計作業に必要な集計ソフトその他の文具類として、約20万円を見込んでいる。
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Research Products
(6 results)