2014 Fiscal Year Annual Research Report
子ども家庭福祉実践におけるリスクとレジリエンスの視座の指針と評価指標の作成
Project/Area Number |
24530707
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山縣 文治 関西大学, 人間健康学部, 教授 (10159204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩間 伸之 大阪市立大学, 生活科学部, 教授 (00285298)
門永 朋子 京都女子大学, 家政学部, 助教 (70711703)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 子ども家庭福祉 / レジリエンス / ソーシャルワーク実践 / 子どもの能動的権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度にあたる本年度は、昨年度までの調査で明らかとなった、レジリエントな入所児に対する施設職員のはたらきかけの要素13項目(以下、「13項目」)について、より深く検討した。具体的には、子ども家庭福祉領域の研究者および実践者に、上述の要素についてエキスパート・チェックを依頼した。依頼した専門家は、13名である。 専門家らは、実践に照らして13項目を検討し、13項目が子ども家庭福祉実践の現状に即していること、さらに、より効果的な実践のために重要な視点であることが指摘された。コメントを集約すると、①実践の場において「成功事例から学ぶ」視点は見失われがちであるが、エビデンスに基づくリスクとレジリエンスの視座は、理にかなった方法論であること、②レジリエンスに基づく子ども家庭福祉実践のスキルは、すでに現場のなかにある可能性があること、③13項目を意識しながらケース記録を書くことで、リスクとレジリエンスの視座に基づいた実践が可能となること、④児童養護施設内だけでなく他の関係諸機関との連携においても有効性をもつこと、⑤社会的養護に対する社会の見方を変えていく力になりうる等となる。結果として、本研究が意義あるものとして評価された。以上のことから、13項目をレジリエントな入所児を見極めるためのチェックリストとして使用できることが、一定程度担保された。今後は、チェックリストの妥当性を追求することが求められる。さらに、専門家から指摘されたこととして、①実務者レベルで活用するために、レジリエンスの抽象的概念を、より洗練された、平易な説明にすること、②子どものレジリエンスを引き出す支援者の技量・力量・感性の育成のプログラム化、③施設内ではレジリエントな子どもであっても、退所後もそうとは限らないことから、退所後の子どものレジリエンスの支援のあり方、がある。これらは、今後の研究課題である。
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Research Products
(11 results)