2012 Fiscal Year Research-status Report
地域を基盤としたソーシャルワークの理論化に向けた個と地域の一体的支援に関する研究
Project/Area Number |
24530708
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岩間 伸之 大阪市立大学, 生活科学研究科, 教授 (00285298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 真帆 別府大学, 文学部, 准教授 (50523304)
鵜浦 直子 大阪市立大学, 生活科学研究科, 特任助教 (10527774)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク / 総合相談 / 地域包括ケア / 当事者 / 権利擁護 |
Research Abstract |
本研究は、一定圏域における総合相談を支える実践理論である「地域を基盤としたソーシャルワーク」の精緻な理論構築に向けて、その中核的実践概念である「個と地域の一体的支援」の方法の集積及び明確化を目的とするものである。3名の研究者からなる研究チームを構成し、①個と地域の一体的支援を推進するアプローチの明確化、②当事者の側に立脚した地域生活支援の方法、③権利擁護の観点からみた個と地域の一体的支援の方法の検証、の3点から研究に取り組んでいる。平成24年度では、以下のように実施した。 ①個と地域の一体的支援を推進するアプローチの明確化は、研究代表者の岩間を中心に取り組んだ。地域包括支援センターや市町村社会福祉協議会に所属するソーシャルワーカー3名に研究協力者として参加してもらい、定例事例研究会を8月から月に1回程度の頻度で開催した。研究協力者から特定の事例を提供してもらい、個を支える地域をつくるための援助のあり方についての検証を行った。 ②当事者の側に立脚した地域生活支援の方法は、研究分担者の林を中心に取り組んだ。地域で生活している高次脳機能障害者6名とその支援者3名に対して、社会生活上の生活課題を明らかにするためにインタビュー調査を実施した。その結果、日常の生活場面で次第に問題が顕在化してくること、自己や他者からの継続的な否定の傾向が強くうかがえた。 ③権利擁護の観点からみた個と地域の一体的支援の方法の検証は、研究分担者の鵜浦を中心に取り組んだ。地域を基盤とした権利擁護の取り組みに関する先行研究のレビュー及び国内外の基本文献の収集・整理に取り組んだ。また、権利擁護の取り組みとして注目される成年後見制度の活用に焦点を当てて、地域を基盤とした権利擁護のあり方について、文献研究に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に掲げた目的はおおむね達成されていると考える。その理由としては以下の3点をあげる。 第1は、定例事例研究会の継続開催と事例の集積である。定例事例研究会は「個と地域の一体的支援」の方法の集積及び明確化を図るうえで重要な位置づけとなっている。特定の事例を経年的に検証するために、定例事例研究会を8月から月に1度の頻度で開催し、検証に必要な事例が集積しつつある。また「個と地域の一体的支援」の方法の明確化に向けた分析にも着手できた。 第2は、当事者の側に立脚した地域生活支援の方法の明確化に向けた分析の基礎ができたことである。地域で生活している高次脳機能障害者6名とその支援者3名へのインタビュー調査をとおして、当事者の視点からみた地域生活における困りごとが明確になりつつある。当事者が感じる困りごとを起点とした地域生活支援の方法の構築に向けた分析の基礎ができた。 第3は、地域を基盤とした権利擁護の実現に向けたアプローチの明確化に向けた基礎づくりへの着手である。文献研究を中心に取り組んだが、地域住民等を巻き込みながら、権利擁護を必要とする人たちをどのように地域で支えていくのか。その際に求められるソーシャルワーカーの働きかけについて明らかにするための基礎づくりに取り組めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、初年度の研究成果を基礎として、さらなる個とと地域の一体的支援の方法の明確化に向けた検証に取り組む。具体的には、以下のように実施する。 ①個と地域の一体的支援を推進するアプローチの明確化は、研究代表者の岩間を中心に取り組む。引き続き、地域包括支援センターや市町村社会福祉協議会に所属するソーシャルワーカーに研究協力者として参加してもらい、定例事例研究会を月に1回程度の頻度で開催する。特定の事例を経年的に検証し、個を支える地域をつくるための援助のあり方についてのさらなる検証を行う。 ②当事者の側に立脚した地域生活支援の方法は、研究分担者の林を中心に取り組む。地域で生活している高次脳機能障害者とその支援者へのさらなるインタビュー調査等を実施することで、社会生活上の生活課題の明確化に取り組む。また、初年度のインタビュー調査結果の分析も継続して実施する。 ③権利擁護の観点からみた個と地域の一体的支援の方法の検証は、研究分担者の鵜浦を中心に取り組む。文献研究をもとに明確化に取り組んだ地域を基盤とした権利擁護の取り組みに関する実証研究に取り組む。成年後見制度の活用を中心に、権利擁護の観点からの個と地域の一体的支援の方法についての明確化に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(1 results)