2012 Fiscal Year Research-status Report
精神保健福祉分野における生活支援・介護サービスプログラムの評価研究
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24530709
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
清水 由香(丸山由香) 大阪市立大学, 生活科学研究科, 助教 (90336793)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精神保健福祉 / 居宅介護 / サービス評価 / 質的研究 |
Research Abstract |
【研究目的】精神障害者への居宅介護におけるホームヘルパーの実践経験から、実践上の困難やアウトカム評価に関する認識、およびそこから支援の特徴がどのようなことかを明かにすること。【研究対象と方法】A市内の2区内の事業所のホームヘルパーやサービス提供責任者を対象に個別面接(6事業所11人)と集団面接(1グループ6人)を実施した。面接対象者の特性は、個別面接の場合は介護保険対応が中心の事業所が多く、精神障害者だけを対象にしている事業所は1カ所だった。被面接者のホームヘルパー経験年数の平均値は7.9年、年齢は47.7歳で、管理職6人を含む。被面接者の許可を得て録音したそのインタビュー・データを分析した。今年度は、データのコード化、コードの分類にとどまっており分析の中間段階である。 【結果】1)評価の視点に関するものは、「エンパワメント」が重要な視点であり、それが「本人発の意思表示やヘルパーや他者への働きかけの発現」として具現化される。支援の基盤に「関係性の構築」や「ヘルパーに対する信頼感」があり、「利用者の主観的認識での生活の安心感」、「生活への意欲の向上」が効果評価の視点としてあげられた。2)精神障害者の支援の特徴は、エンパワメント向上に関わる「関係性の構築」が重要であり、そこにいくつかの支援の特性が含まれる。「症状や障害の特性への配慮」は、本人の警戒心やこだわりへの配慮、病気を中心にみないこと、不必要な生活ストレッサーを荷重しないことも支援の特徴といえる。また「支援を長い時間軸でとらえる必要性」、「積極的な支援のさじ加減や言葉かけの熟考」をともなうことがあげられた。そして利用者への信頼感や安心感の提供という、ヘルパーの「揺るぎない態度の軸」と共に、多角的な視角から利用者のストレングスを発見し、「状況を見立てて臨機応変に対応できる力量」が居宅介護の支援者に求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)生活支援の文献レビューが60%程度の進行である。 2)質的データ収集において、対象者の特性や多様性の面で不足する点がある。例えば精神障害者を中心に支援している事業所の個別面接が不足している。質的データの分析において、結果、考察において検討の余地を残している。 3)ホームヘルプ利用者の縦断的評価の準備を進めるところだが、調査の協力をえることができる利用者のリクルートに苦慮している。精神障害者のホームヘルプ利用者の特性や事業者の状況をふまえると、十分な準備や検討がさらに必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)精神障害者へのホームヘルプサービス評価においては、実践者の技術や経験のみならず、自治体の裁量による制度的な解釈の影響も考慮する必要がある。そのため、平成24年度実施以外の地域をも広げてサービス事業所への面接調査を実施する予定である。 2)サービス提供事業者、所属ホームヘルパーを対象として、サービス提供に関するアウトカム評価視点の妥当性、精神障害者の特徴に適合した支援の特性がどのようなことか、そして支援の特性をふまえた実践程度と個人要因、環境的要因との関連性を検討するための調査を実施する。面接調査の結果をふまえて質問紙を作成し、量的調査を実施する。調査の規模は、少なくとも6都道府県で800事業所、1600人程度に配布する。 3)サービス利用者の縦断的なアウトカム評価は、サービス提供者調査をもとにその担当利用者を対象に調査票を配布し、利用者本人、およびサービス提供者による評価の量側面による評価データを収集する。次年度の調査に継続して縦断的に分析することができるように実施する。おもに利用者の生活変化と実践の特性との関連性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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