2014 Fiscal Year Annual Research Report
社会福祉の支援を再考するための障害者主体組織による支援の思想と技法の定性的研究
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24530713
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
横須賀 俊司 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (60304193)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 障害者主体 / 自立生活センター |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の研究計画通り、フィールドワークを実施するとともに、文献研究を行った。フィールドワークについては、数人の関係者に対してインタビューを行い、必要な資料を収集している。また、文献研究については、障害学関連のものを中心に、組織論やエスノグラフィーについても参考にしている。 昨年度は組織(による支援)と制度(=環境)の関係に焦点化して考察をしたので、今年度は組織とその中の支援者の関係に焦点を当てて研究を進めた。組織は組織目標を実現するため、組織目標に沿った支援ができるよう、支援者を組織に「適応」させようとする。その一方で、支援者は「適応」を図ったり、図らなかったりする。その違いは、支援者が組織においてどのような位置を占めているのかによることがわかった。つまり、それは組織にたいして近い関係にあれば「適応」が顕著となり、組織から遠い関係であればあまり「適応」をしていかないということである。もちろん、「適応」しているから近い関係にあるという側面も見逃せない点であり、これは支援者と社会の関係によるところのものである。全体の成果としては、これらのことを踏まえると、社会(環境)は組織と支援者に、組織は支援者にそれぞれ多大な影響を与えるが、だからといって、組織や支援者が受動的な存在ではなく、能動的、主体的な存在であることがわかった。また、支援活動には個人に対する直接支援と環境変革という間接的支援が行われており、それらが別々に実践されているのではなく、循環しながら行われていることもわかった。 なお、本研究の成果(特に24年度の成果を中心に)について、論文を作成して投稿したが、この実績作成中に残念ながら不掲載の知らせが届いた。リライトして別の学術雑誌に再投稿あるいは報告書としてまとめていく予定である。
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