2012 Fiscal Year Research-status Report
在宅終末期がん患者の家族介護者へのインフォーマル・レスパイトケアに関する研究
Project/Area Number |
24530714
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
後藤 みゆき 山口県立大学, 看護栄養学部, 講師 (30547972)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 終末期がん患者 / 家族介護者 / インフォーマル・サポート / レスパイト・ケア |
Research Abstract |
I.介護支援専門員に対する調査 1.具体的内容 終末期がん患者の在宅ケアにおいて、家族介護者の心身的介護負担に着目したアセスメントやケアマネジメントが行われているかについて、介護支援専門員10名にインタビュー調査を行った。介護支援専門員は、家族介護者の身体的介護負担を認識しながらも、直接的な訴えがないという理由で、身体的介護負担の問題がないと判断する傾向があった。一方で、介護期間が長期に渡ると家族介護者の健康問題が生じる可能性が高いとも考えており、その場合は患者にショート・ステイを薦めることが語られた。しかし、終末期にショート・ステイを利用するのは患者のQOLを低下させる等の理由から、家族は無理をして介護を継続しており、レスパイト・ケアが考慮されている様子はなかった。心理的負担では、家族介護者はそれほど不安な状態ではないと捉えていた。患者との死別の問題では、家族介護者が患者との死別を受け入れらないことはなく、それよりも患者の最期を看るという気持ちが強いと考える傾向にあった。また、グリーフケアについては、患者の死亡によってサービス提供が終了するため、遺族のフォローは難しいと述べた。ケアマネジメントでは、患者の在宅ケアの希望を最も優先すると考える者が多く、家族介護者の希望や都合は副次的なものとされていた。以上より、介護支援専門員による家族介護者の心身的介護負担に対する支援は、不十分であることが明らかになった。 2.意義・重要性 本調査では、介護支援専門員による家族介護者支援が不十分との結論に至った。すでに行った訪問看護師を対象とした調査でも同様の結果が得られており、フォーマル・サービスにおける家族介護者支援が不十分な事が明らかとなった。この結果は、インフォーマル・サポートの重要性の提言に繋がると考えられる。 II.ボランティアに対する調査:現在、2名の調査を終えた段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画書を立案した段階では、平成24年度には家族介護者(遺族)を対象にした調査と、介護支援専門員を対象にした2つの調査を行う予定であった。しかしながら、家族介護者の調査は、まだほとんど着手できていない。なぜならば、遺族の場合は悲嘆から回復するまでに時間を要すことや非常にデリケートな問題を取り扱うことから、インフォーマントの確保に難渋しているためである。したがって、在宅終末期がん患者の家族介護者が抱える問題点を明らかにするには至っていない。 介護支援専門員による家族介護者支援の現状の調査および分析は終了している。介護支援専門員を対象とした調査では、家族介護者支援の心身的介護負担を軽減するための支援やケアマネジメントが不十分との結果が明らかになった。 家族介護者を対象とした調査がなかなか進捗しない状況を考え、次年度の計画であるボランティアを対象とした調査に取り掛かっている。しかしながら、まだ2名の調査を終えた段階であり、研究が順調に進んでいるとは言い難い。
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Strategy for Future Research Activity |
1.在宅終末期がん患者の家族介護者を対象とした調査 : 当調査は、平成24年度に予定していたが、現在のところほとんど進捗していない。申請者のこれまでの研究の関係から、平成24年度は広島・福岡での調査を考えていた。しかしながら、この状況ではインフォーマントの確保が難しい為、平成25年度は山口県も視野に入れたインフォーマントの獲得・調査を早急に進める予定である。 2.ボランティアを対象とした調査 : 当調査は、現在までに2名の調査を終了したところである。平成25年度は10名以上の調査を行う予定である。ボランティア活動については、広島・福岡でのインフォーマント確保が見込める為、調査があまり遅れることはないと思われる。 3.インフォーマル・レスパイトケアを内包した、アセスメント・ツールの作成 : アセスメント・ツールの作成を行う為にも、家族介護者を対象とした調査を早急に進める必要があると考える。当ツールは、家族介護者のインタビューに基づいて作成する予定であったが、介護支援専門員を対象とした調査のデータ(介護支援専門員から語られた家族介護者のエピソード)も、参考にしたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
I.平成25年度への繰越研究費の発生理由 本研究では、家族介護者を対象とした調査が進捗していない。したがって、この調査にかかる旅費やインフォーマントへの謝金、テープ起こし(研究補助)等の支出がほとんどなかったことが、当該研究費が発生した主な原因である。平成25年度は家族介護者への調査を早急に行いたい。 II.次年度研究費の使用計画 1.がん患者の家族介護者に対する調査およびボランティアに対する調査にかかる予定費用は次の通りである。 旅費:広島・福岡への旅費(30回×15000円=450000円)、インフォーマントへの謝金(25名×2000円=50000円)、テープ起こし(研究補助:150000円) 2.学会旅費 社会福祉学会(北海道:150000円)、日本死の臨床(松江市:50000円) 3.その他 印刷等(20000円)文献購入(20000円)
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Research Products
(1 results)