2015 Fiscal Year Annual Research Report
限界集落の地域的孤立化を基盤とする要援護者の孤立化問題と生活支援
Project/Area Number |
24530717
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
田中 きよむ 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (00253328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 利亮 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00310897)
玉里 恵美子 高知大学, その他の研究科, 教授 (40268165)
霜田 博史 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50437703)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 共生型地域拠点づくり / 中山間地域 / 限界集落 / 孤立化 / ナショナル・ミニマム / ローカル・ミニマム / コミュニティ・ミニマム / 北欧型福祉システムとアジア型福祉システム |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)事例分析を通して、「地域」と「個人」の孤立化防止対策の有効性を検証した。調査対象地域においては、地域の課題解決や活性化をミッションとする住民自治組織の主体的な地域活動の下地があり、それを牽引するリーダーの存在が明らかになった。さらに、リーダーには、将来に向けた地域の持続性への不安や日常生活上の不安等の地域に対する強い危機感が共通して見られる。そして、地域の課題を住民が自分たちの問題として受けとめ、解決方法を考えるワークショップが地道におこなわれており、住民の主体的な地域づくりに向けた意識改革を促す重要な機会となっている。しかも、それが狭義の福祉活動にとどまらず、仕事おこしや地域づくりにつながることによって、より広範な住民の関心と参加を引きつけ、前向きな変化をもたらしている。そこには、個別支援が地域づくりへの質的な転換を遂げていくプロセスが見出される。 (2)中山間地域の限界集落における高齢者等の生活支援に向けた政策的なシステムと地域福祉的な仕組みづくりの方向を具体的に明らかにした。政策的な対応としては、高齢者の生活に即したナショナル・ミニマムとローカル・ミニマムのポリシー・ミックス、さらに地域福祉的なコミュニティ・ミニマムを組み合わせた三次元のオプティマム・アプローチを提唱した。 (3)(2)の補足研究として、政策的なシステムと地域福祉的な仕組みづくりを高齢者の生活支援に焦点化した場合の国際比較をおこなった。その際、北欧型の高齢者福祉システム(スウエーデン)とアジア型の福祉システム(韓国)を現地調査に基づき、比較検討した。その結果、先行研究における北欧型福祉システムとアジア型福祉システムを対置する福祉国家類型論とは異なり、両システムが、個別支援・生活総体・生活継続性、効率性とサービスの質、在宅・地域生活重視という点で、接近・収斂してきていることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)