2012 Fiscal Year Research-status Report
犯罪被害者のための総合的支援システムの構築―官民協働体制を目ざして
Project/Area Number |
24530728
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
伊藤 冨士江 上智大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00258328)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 犯罪被害者支援 / 民間被害者支援団体 / 官民協働体制 / 総合的支援システム / イギリス |
Research Abstract |
本研究は犯罪被害者(被害者その家族および遺族を含む)のための総合的支援システムを構築することを目的としており、平成24年度は民間被害者支援団体による支援についてその現状と課題を検討するため、国内とイギリスにおいて調査研究を実施した。国内については、先駆的取組を行っている関西地区(大阪、京都、奈良)の民間被害者支援団体を訪問調査、被害者支援近畿ブロック研修にも参加し、具体的な支援状況、民間団体としての強みと課題等を把握した。また、民間被害者支援団体を統括する全国被害者支援ネットワーク事務局を訪問し、ネットワークからみた全国の支援団体の活動概要と課題をヒアリングした。こうした訪問調査を通して得た研究成果については、海外に発信する重要性を踏まえ英語論文にまとめた。これら調査結果をもとに、次年度に全国の民間被害者支援団体を対象にした質問紙調査を実施する予定である。 国外調査については、イギリスに出張し、長い歴史をもち発展を遂げているCharity Organization のLondon Victim Support, Restorative Justice Council, London Probation Trust を訪問調査するとともに、Victim Supportの発展経緯に詳しいPlymouth University の法学者と面談・意見交換し、重要な文献を収集することもできた。Victim Supportに関して、①長い実績の上に築かれた官民協働体制、②被害直後の初期介入、③刑事司法機関とサービス間の連携、④研修をうけたボランティアの活用など具体的に把握したことを、2013年刊行の拙編著『第2版 司法福祉入門』にコラムとしてまとめた。イギリスのVictim Supportの発展経緯、活動内容から得る示唆は多々あり、多角的に研究しまとめることが必要だと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、研究実施計画通りに、わが国の民間被害者支援団体の現状を明らかにするための訪問調査、イギリスの被害者支援の発展経緯を把握するためのLondon Vicitm Support等 への訪問調査を行った。ただ、全国の民間被害者支援団体を対象にした質問紙調査については、調整が間に合わず次年度への持越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、昨年度実施できなかった全国の民間被害者支援団体を対象にした質問紙調査を行う予定である。また、更生保護分野における被害者施策の実施状況(被害者のニーズの充足状況を含む)と課題について調査を実施する。いずれも被害者のための総合的支援システムの構築をするためには必要な調査であり、関連機関から調査を実施するうえでの協力を得て研究態勢を整えていきたい。 修復的司法についても、平成25年度中にアメリカでの研究調査の端緒をつかみたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述したとおり、全国の民間被害者支援団体を対象にした質問紙調査および更生保護分野における被害者施策の実施状況(被害者のニーズの充足状況等)と課題についての調査を行い、その結果を分析・検討するために研究費を使用する。調整がつけば修復的司法に関する調査のためのアメリカ出張にも研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)