2013 Fiscal Year Research-status Report
犯罪被害者のための総合的支援システムの構築―官民協働体制を目ざして
Project/Area Number |
24530728
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
伊藤 冨士江 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (00258328)
|
Keywords | 犯罪被害者支援 / 更生保護における被害者等施策 / 民間被害者支援団体 / 官民協働体制 / 総合的支援システム |
Research Abstract |
本研究は犯罪被害者(被害者その家族および遺族を含む)のための総合的支援システム(官民協働体制)を構築することを目的としており、平成25年度は(1)更生保護における犯罪被害者等施策の実施状況と方向性、(2)民間被害者支援団体の支援状況について研究を進めた。 (1)について:更生保護における犯罪被害者等施策のうち「心情等伝達制度」と「相談・支援」を取り上げ、その現状と課題を分析・検討するために、法務省保護局総務課被害者等施策班と協議のうえ調査票を作成した。全国50か所の保護観察所の被害者担当官および被害者担当保護司を対象に、平成25年度3月から次年度4月にかけて調査を実施した。調査結果について、次年度に詳細に分析し、刑事システム内(公的機関)における被害者支援の在り方について検討する予定である。 (2)について:民間被害者支援団体の現状と課題を把握するために、全国被害者支援ネットワークに(全国ネット)加盟する全国48か所の支援団体に関わる調査票を、全国ネットの協力のもとに作成した。この調査は、支援団体の代表者、直接支援員、被害者当事者を対象にしており、被害者支援において民間支援団体がどのような役割を担い直接的支援を行っているか、他機関との連携の実態、支援団体による支援を受けた被害者当事者からの支援の評価などを内容としている。平成25年度内に調査票をほぼ作成し、次年度の5月から6月にかけて調査を実施する予定であり、民間機関における被害者支援の現状を多角的に明らかにし、官民協働体制の在り方について模索・検討していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、昨年度諸事情により実施にまで至らなかった調査2件(1)更生保護における犯罪被害者等施策に関する調査、(2)民間被害者支援団体の利用に関する調査について、研究チームを立ち上げ、調査内容を綿密に検討し、調査票を作成した。それぞれ調査対象となる保護観察所を管轄する法務省保護局および民間被害者支援団体を統括する全国被害者支援ネットワークに対して、調査内容を協議したうえで、調査協力の了承を得ることができた。(1)の調査はすでに実施しており、(2)の調査についても次年度5月から6月に実施する予定である。若干の遅れはあったが、おおむね研究計画どおり進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、(1)更生保護における犯罪被害者等施策に関する調査、(2)民間被害者支援団体の利用に関する調査、2件の調査結果を分析しまとめる。分析結果については、学会等で報告し論文にまとめる予定である。犯罪被害者のための総合的支援システム(官民協働体制)の構築に関わるデータをもとに、具体的な提言を行いたい。 また、本研究の3番目の柱である修復的司法については、研究チームと事前調査をしたうえで修復的司法の実践状況に関する調査のためのアメリカ出張を予定している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は調査を実施したが、調査結果の分析にまで至らなかった。また調査のための海外出張も予定していたが、実施できなかった。そのため計画どおりの使用額とはならなかった。 平成25年度に使用できなかった分を、次年度の調査結果分析、海外出張等に使用し研究を進めていく予定である。
|
Research Products
(3 results)