2014 Fiscal Year Research-status Report
犯罪被害者のための総合的支援システムの構築―官民協働体制を目ざして
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24530728
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
伊藤 冨士江 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (00258328)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 犯罪被害者支援 / 更生保護における犯罪被害者等施策 / 民間被害者支援団体 / 官民協働体制 / 総合的支援システム / 修復的司法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は犯罪被害者(被害者とその家族および遺族を含む)のための総合的支援システム(官民協働体制)を構築することを目的としており、平成26年度は(1)更生保護における犯罪被害者等施策の実施状況と課題、(2)民間被害者支援団体の支援状況、(3)修復的司法の理論的・実践的検討について研究を進めた。
(1)について:更生保護における犯罪被害者等施策のうち「心情等伝達制度」と「相談・支援」を取り上げ、その現状と課題を分析・検討するために、全国50か所の保護観察所の被害者担当官および被害者担当保護司を対象に、平成26年3月から4月にかけて調査を実施した。また、法務省保護局総務課被害者等施策班の協力を得て提供を受けた「被害者等の心情等を加害者に対して伝達したケース」92件のデータ分析を行った。それらの結果については、日本社会福祉学会で発表、また論文にまとめ「上智大学社会福祉研究」(39号)に掲載された。 (2)について:民間被害者支援団体における犯罪被害者支援の現状と課題を把握するために、全国被害者支援ネットワークに加盟する48か所の支援団体を対象に、平成26年6月から8月にかけて調査を実施した。本調査には支援団体の代表者35名、支援員86名、被害当事者の方40名の協力を得て、その結果を分析中である。 (3)について:わが国において修復的司法/正義を実践している3団体と連携し、平成26年12月に東京で開かれた「修復的対話フォーラム」に参加。その成果等を実践団体の代表者らとともにまとめ、ソーシャルワークの専門誌に掲載していく予定である。そのうち本研究代表者は「講座・修復的司法/正義(Restorative Justice)とその実践[1]:ソーシャルワークの視点から考える」を担当し、「ソーシャルワーク研究」(41巻1号)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、(1)更生保護保護における犯罪被害者等施策については心情等伝達制度に焦点をあて調査を実施し、調査結果の量的分析を行い、その一部を日本社会福祉学会で発表したり、論文にまとめるなどした。(2)民間被害者支援団体の利用に関する調査は、調査票を配布し回答を得て、現在調査結果を分析中である。(3)修復的司法/正義については、国内の実践団体と連携を取り実践的検討を重ねている。 修復的司法/正義に関わる調査について若干の遅れがみられるが、本研究全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、(1)更生保護保護における犯罪被害者等施策に関する調査、(2)民間被害者支援団体の利用に関する調査、の2件について調査結果を量的・質的に分析し、それらの分析結果を論文や報告書にまとめる。また、その成果を社会福祉学や被害者学等、関連分野の学会において発表する予定である。 本研究の3番目の柱である修復的司法/正義については海外調査を行い、被害者のためのニーズを満たす選択肢になり得るか、実践的検討を行う。
こうした調査結果をもとに支援策等を多角的に分析・検証し、犯罪被害者のための総合的支援システム(官民協働体制)の構築に向けて具体的な提言を行いたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度は2件の調査を実施したが、現在その調査結果を分析中であり、結果をまとめた報告書等の作成まで至らなかった。また、調査や研究成果の発表等のための海外出張を予定していたが、実施できなかった。そのため計画通りの使用額とはならなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、前年度までにに使用できなかった分を、調査結果の最終分析、海外調査の実施、報告書の作成、成果の発信等に使用し、本研究の総まとめを行う予定である。
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Research Products
(7 results)