2012 Fiscal Year Research-status Report
障がい児家族ケアラーのストレス対処力SOC支援向上モデルの構築
Project/Area Number |
24530731
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大宮 朋子 東邦大学, 看護学部, 助教 (90589607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 喜比古 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (10174666)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Sense of coherence (SOC) / 障がい児 / 家族ケアラー / 介入 / 比較 / 口唇口蓋裂 / 母親 |
Research Abstract |
平成24年度は、セルフヘルプグループの協力を得て、13名の先天性疾患(主に口唇口蓋裂)児を持つ親(母親12名、父親1名)にインタビューを行った。インタビュー終了後にはSOC13項目5件法版を用いて測定した。疾患は、口唇口蓋裂、広汎性発達障害、知的障害等重複疾患であった。きょうだい間で同じ疾患を持つケースが数例あった。 協力者の平均年齢は45.2歳、SOCの平均は49.7点(range13-65)であり、日本の全国平均(44.06±8.83)より高かった。これは、インタビューを受けることが可能な精神状態にある方が協力して下さった、つまり協力者には偏りがあることを示しており、高低群別比較には注意を要する。 現在、インタビューデータの分析を進めている。インタビューでは、医療者の言動に心を痛めた経験のある人が複数いること、身内からの辛辣な言葉は忘れ難いこと(特に疾患は母親の責任であるとの言及、家系や血筋に関する発言)が語られた。特に、医療者からの「(手術によって)キレイになる」という言葉は、親の期待とはかけ離れており、医療者への不信につながる可能性が指摘された。また、現在高いSOCにあってもほぼ全員が精神的・肉体的に追い詰められるような過酷な経験をしていた。子どもの年齢が低いと親のSOCが低めとなる傾向があり、親から見て子どもが現在安定した状況にあることがSOCの回復に関係している可能性がある。また、身近な重要他者からのstigma的な発言を経験していないこと、経済状態が安定していること、拠り所となる重要他者の存在が、SOCの回復に重要な役割を果たしている可能性がある。 今後、SOC高群に特徴的かつ具体的な経験や、出来事の捉え方の詳細を分析によって明らかにするのと同時に、今回のデータを質問紙調査に生かすべく、分析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初インタビュー予定は20名程度であったが、協力がなかなか得られず13名にとどまっている。今後追加でリクルートして行く必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューの分析を進め、学会発表、論文化をしていく。 インタビュー結果を踏まえ、セルフヘルプグループの協力を得て、アンケート調査(600名程度)を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、インタビュー予定を20名としていたが、紹介元の状況により、現在13名のみの実施にとどまっている。そのため、謝金、逐語録作成費用が予算よりも少なくなった。また、会議の開催回数が先方の都合で予定より少なかったこと、学会発表数が少なかったことも、全額予算執行が出来なかった要因の一つである。平成25年度は、アンケート実施のほか、アンケートデータの解析用のPC購入、国内外の学会発表、論文の英文校正等に研究費を使用する予定である。概算は以下の通りである。 アンケート調査に関わる費用 80万円(人件費含む) 論文投稿(英文校閲等)費用 15万円 備品購入費用30万円 (パソコン、書籍等) 学会発表等旅費 15万円
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