2014 Fiscal Year Research-status Report
障がい児家族ケアラーのストレス対処力SOC支援向上モデルの構築
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24530731
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大宮 朋子 東邦大学, 看護学部, 講師 (90589607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 喜比古 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (10174666)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ストレス対処力SOC / 口唇口蓋裂 / 母親 / GHQ / ソーシャルキャピタル / 障害児 / 肯定的変化 / サポート |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、CLCP児の親が運営するセルフヘルプグループである口唇・口蓋裂友の会(口友会)の会員の母親514名を対象とした無記名質問紙調査を7-9月に実施した。 【目的】A.アントノフスキー(1979)によって概念化されたストレス対処力SOCを用いて、CLCP児の母親における養育過程の主観的経験や地域ソーシャルキャピタル(地域SC)が、母親のSOCやGHQとどのような関連性があるのかを明らかにし、母親へのケアに関する示唆を得る。 【調査項目】母親:基本属性・特性、SOC13項目5件法版、GHQ12、CLCP児を育てることによる肯定的変化Perceived Positive Change(PPC)10項目、地域SC6項目、養育過程の主観的経験9項目、医療従事者からのサポート受領5項目。CLCP児:年齢、性別、疾患種別、合併症の有無。 【分析】SOC、GHQ、PPCを従属変数とした重回帰分析を行った。 【結果・考察】回収率は57.9%(296通)。母親の平均年齢は49.9±8.9歳、子供の年齢は18.7±9.4歳であった。 「周囲の人からの忘れられなくて辛い言葉がある」という、stigma的経験が精神健康(GHQ)の悪化のみならずSOCが低いこととも強い関連を示した。母親に対する心無い一言が、母親のSOCを回復不可能なほど大きく傷つける可能性がある。GHQについては、精神状態のよくない人が医療従事者のサポートを受けている可能性が考えられた。SOC及びPPCについても、CLCPについて気持ちを分かち合える人が身近にいることや、地域SCが高いことがSOC及びPPCの高得点と関連していた。心の支えとなるセルフヘルプグループの紹介や安心感の得られる社会環境が、SOCの回復や向上に寄与し、母親への有効なケアになると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特別支援学校にも調査を行う予定であったが、質問紙の内容がかなりセンシティブであるため、内容の詳細調整に時間がかかっている。また、依頼予定校では平成26年度から特別支援学校の生徒のケアに介護士が導入され、教員数が減少し、現場は混乱が生じていた。このような背景の中、現在もフィールド調整にはかなり時間がかかっていることも進捗がやや遅れている理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査と質問紙調査については、学会発表を平成27年5月と7月に行う予定である。また、11月に長崎で開催される公衆衛生学会では、SOCに関するシンポジウムにおいて平成26年度の調査結果を踏まえてシンポジストとして登壇予定である。 また、特別支援学校への調査も実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた特別支援学校の質問紙調査が、調査内容の詳細検討に時間がかかったのと、学校側の組織変更のために実施できなかったため。 また、調査協力を得た口唇口蓋裂友の会(口友会)に対する報告書の印刷・発送が、口友会の事務局との打ち合わせ延期により遅れているため。(口友会の事務所移転、NPO法人化に向けての事務所内調整による)
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
特別支援学校の調査の実施(倫理審査申請および自記式質問紙調査の実施) 報告書の印刷・発送(約600部)
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Research Products
(4 results)