2012 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設入所児童の攻撃性への対処支援プログラムの構築に関する研究
Project/Area Number |
24530732
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
藤岡 孝志 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (30199301)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 共感疲労 / バーンアウト / 共感満足 / 攻撃性 / 愛着臨床アプローチ / 援助者支援 / 養育者ー子ども関係性構築 |
Research Abstract |
本研究の目的は、虐待を受けた子どもたちに見られる攻撃的行動(特に身体的・言語的暴力)に対する対処を考える際に、子どもたちの感情調整や養育者との関係構築をプログラムの中に取り入れている包括的養育者―子ども関係性構築プログラム(「愛着臨床アプローチ」含む)が有効であるのかどうかを検証することである。 1、まず、包括的養育者―子ども関係性構築プログラムの構築を試みた。そのなかで、攻撃性については、自己発現的攻撃性と反応性攻撃性があることが、レジデンシャルマップの分析から明らかになった。また、さらに、子どもの問題行動のアセスメントとして定着しているCBCLと被虐待児に特定的な問題行動のアセスメントシートである兆候チェックリストの標準化も行った。その結果、CBCLのすべての項目との相関が有意に高く、CBCLを補完するアセスメントシートとして活用できることが示唆された。2、これらのことと援助者支援の観点から、共感疲労、共感満足、バーンアウトリスクの評価、特定支援の方略についても検討を行った。バーンアウト領域では、マスラックらの研究を踏まえ、組織論的な支援体制の確立が必要であることを再確認し、それらが共感疲労や共感満足といった、子どもとのかかわりの中で起きてくる職員の疲弊や満足感とどう関連しているかを検討した。3、そのうえで、暫定的な支援プログラムを、複数の児童養護施設での研修で実施し、効果を測定した。 これらを通して、援助者支援を念頭においた子どもの攻撃性への対処プログラムを作成し、包括的な養育者―子ども関係性構築プログラムの標準化に向けて、暫定的なプログラムが構築できたと評価でき、今後の援助者支援に寄与できるものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、虐待を受けた子どもたちに見られる攻撃的行動(特に身体的・言語的暴力)に対する対処を考える際に、子どもたちの感情調整や養育者との関係構築をプログラムの中に取り入れている包括的養育者―子ども関係性構築プログラム(「愛着臨床アプローチ」含む)が有効であるのかどうかを検証することである。 このプログラムを作成するにあたって、子どもの攻撃性をどう評価するかということが大きな課題となる。本研究では、レジデンシャルマップ、CBCL,兆候チェックリストと、大きく3つのアセスメントシートについて検討を詳しく行った。これについては、研究報告書も作成した。 さらに、援助者支援領域において、共感疲労や共感満足については、その対処も含めて特定化されてきているが、一方で、組織論的な観点に立つバーンアウト尺度をどう援助者支援に活用するかは盲点であり、多くの研究がなされてきているがゆえの閉塞感があると考えられる。本研究では、あえて、バーンアウト尺度も取り入れることによって、子ども、養育者を取り巻く組織という観点も取り入れて、援助者支援を構築していくことを考えていった。このことは、当初の目標にも合致することである。 全体を通して、援助者支援の観点に立った子どもの攻撃性対処プログラムの作成は、順調に進んでいるものと判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
以上の一年目の成果を踏まえて、子どもー養育者関係支援構築プログラムの特定化、標準化を試み、それらを、複数の児童養護施設に適用することで、そのプログラムの汎用化を行っていく。 その際には、適用施設の独自性などを勘案し、汎用化に向けての留意点などを特定化していく。 2年目の課題は、このように、プログラムの精緻化だけでなく、汎用化に向けてのモデルづくりと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する研究費について 生じた理由;当初予定していた研修計画の一部が翌年度以降になったため、それに合わせて、研究費の使用を控えた。 翌年度以降の研究費と合わせた計画;複数の児童養護施設での適用を考え、暫定版のプログラムの資料などをツール化して印刷する。研究費はその費用に充てる。また、それらを通して行った研修の成果を、データ解析し、モデルの適合度を検討していく。 さらに、このような職員の研修が、子どものウェルビーイングにどう影響しているのかということを、子どもへのアンケート、面接調査などを通して行っていく。その際には、十分な倫理的な配慮を行う予定である。施設への旅費等、実施に対する費用を研究費から支出する。
|