2012 Fiscal Year Research-status Report
子ども虐待の援助過程におけるインフォーマル資源の活用
Project/Area Number |
24530735
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
林 浩康 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70254571)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 虐待援助 / インフォーマル支援者 |
Research Abstract |
フランス・パリにおける里親養育およびインフォーマル資源の活用状況について視察を行った。パリの里親委託機関を訪問し、里親委託および里親養育支援の状況を視察し、専門職へのインタビューを行い、日本への示唆を整理した。 フランスでは里親が職業として位置付けられ、給与が支給されている。親族里親は制度化されてはいないが、司法措置の中の《信頼される第三者》はそのほとんどが親族である。すなわちフランスにおいても身近な親族の元での養育が優先され、それが不可能な場合、正式の里親に子どもは措置される。日本への示唆として、①専門職としての「里親」の位置付け、②「育成チーム」の形成(子どもをチームで養育する必要性)、③子どもを中心に据えた委託の推進と子ども支援プログラムの促進、④多様な養育モデルの試み、⑤民間機関の存在意義、⑥子育て支援との連続性をもった社会的養護の必要性、⑦子どもと実親との交流の構造化の必要性について整理した。 子どもは専門職やインフォーマルな支援者から構成されるチームや連携・協働システムの中心に位置付けられ、実親は状況によって中心あるいはチーム側に位置付けられる。課題の外在化を図り、対等な関係性に基づき、養育のあり方を考え、方針を立てるというスタンスで専門職や里親は位置付けられ委託機関が中心的役割を果たしている。 養育計画作成に関する意思決定過程において、専門職、里親、保護者、親族、近隣の人々が関与し、インフォーマルな資源とフォーマルな資源の統合的アプローチがなされ、それがその後の支援において大きな役割を果たしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた国を急遽フランスに変更したが、計画通りの成果が得られた。また、文献研究において、親族里親についてレビューを行い整理を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
海外における親族里親の活用状況やその社会的支援のあり方を明らかにする。イギリス・バーミンガムおよびアメリカ・シアトルにある民間の里親委託機関を訪問し、里親養育支援に関して視察を行う。また国内では児童相談所職員に対し、ファミリグループ・カンファレンス実施後の評価に関するインタビューを実施する。これまで評価インタビューの実施に向け、検討を重ねてきた。家族や親族へのインタビューは困難なこともあり、専門職に限定してパイロット的インタビューをまず行うことにした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外渡航費にほとんど費やされる
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