2012 Fiscal Year Research-status Report
子育て支援・家庭訪問ソーシャルワーク実践モデルの開発 ―実践モデルの原版づくり
Project/Area Number |
24530752
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
木村 容子 京都光華女子大学, キャリア形成学部, 准教授 (00352948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野セレスタ 摩耶 滋慶医療科学大学院大学, その他の研究科, 講師 (80566729)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 子育て家庭 / 家庭訪問 / 実践モデル / 開発的研究 / M-D&D |
Research Abstract |
本研究は、ソーシャルワーク実践モデルの開発のための手続きである芝野(2002)のM-D&D(修正デザイン・アンド・ディベロップメント)を用い、子育て家庭のための家庭訪問ソーシャルワーク実践モデル(原版)を開発することが目的である。 当該年度は、次の点で成果をあげた。1.文献研究から、各種家庭訪問事業の実態とその問題や課題を把握し、家庭訪問ソーシャルワーク実践モデル(以下、家庭訪問SW実践モデル)の構成要素を分析・考察した。さまざまな取り組みがありながらも、家庭訪問の効果的な実施における情報は断片的であり、それらを統合して家庭訪問事業のプロセスや各段階の実施ポイント等を整理し、枠組みと構成要素を提案したことは意義深い。この研究成果は、日本子ども虐待防止学会第18回学術集会のポスター発表にて公表した。2.アメリカはフロリダ州ピネラス郡の保健福祉課にて実施された研修に参加し、当該郡のヘルシー・ファミリー・アメリカ(HFA)のプログラムをはじめ、他家庭訪問事業等の内容や仕組みについて学ぶとともに資料収集等をおこない、わが国の家庭訪問SW実践モデルに援用できる仕組みの上での要素や、家庭訪問にて活用されうるアセスメント・ツール、あそび・教材等について検討した。3.これを受け、今後研究開発する家庭訪問SW実践モデルのモジュールとなろう教材や情報を、フェースブック・ページ「子育て家庭への家庭訪問のために うらら」を立ち上げ、配信している。これは、研究成果を公表するためだけでなく、本研究で開発する実践モデルを将来的にはICTを用いプログラミングしたものとして広く普及させていく方向性のなかで、フェイスブック・ページの可能性について試行したものである。このようなSNSを活用した試みはこれまでにほぼなく、社会に強い影響力があり、安価かつ手軽に製作できる方法の探索は、とくに普及のうえで重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度である平成24年度の研究計画では、自治体の家庭訪問員に対する訪問スキルおよび戦略に関する質問紙調査を行う(近畿圏の自治体(200強)から無作為に抽出した50自治体を対象)こととなっていたが、以下の理由により、25年度に実施することとした。①先行研究の文献調査において、Ciniiで検索された子育て家庭への家庭訪問事業に関する全文献と、助成金を受けた研究で検索できる限りのものを網羅したため、文献研究に多大な時間を要したこと、②アメリカでのヘルシースタート・アメリカに関する研修において収集できた資料の翻訳に時間を要したこと、③主任研究者の所属が次年度以降変わる見込みがあったため、質問紙調査の対象を広げられる可能性等があり、実施時期の見直しをしたことである。 その一方で、「研究業績の概要」でも示したように、(初年度の研究計画にはなかったが、)今後研究開発する家庭訪問SW実践モデルのモジュールとなろう教材や情報を掲載するフェースブック・ページ「子育て家庭への家庭訪問のために うらら」を立ち上げ、そのコンテンツの制作を行った点では、2年目~3年目での取り組みの一部を前倒しして実施しており、研究計画全体としては実施時期に変更があったものの、大きな遅れとはなっていないといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目である平成25年度は、①自治体への質問紙調査を実施する。研究計画で焦点づけていた家庭訪問員の訪問スキルや戦略だけにとどまらず、平成24年度における文献研究とアメリカでの研修の成果をいかし、乳児家庭全戸訪問あるいは新生児訪問における訪問前の案内とコンタクト、訪問時、訪問後の支援の必要性の検討と支援計画・手続きといった、プロセスの各フェーズですべきことやその仕組み、その効果について調査する。②自治体に対する家庭訪問事業の仕組みについての質的調査として、家庭訪問事業に関し評価の高い複数の自治体において、各自治体の家庭訪問事業担当部署の担当者、家庭訪問員のチーフ、スーパーバイザー的役割を担う者をはじめとする家庭訪問員数名、ひろば事業など他の子育て支援関連事業にたずさわる者を含む5名程度のフォーカスグループ・インタビューにより、家庭訪問事業がうまく機能する要素について分析する。 2年目の調査結果をふまえ、研究最終年度の平成26年度には、家庭訪問ソーシャルワーク実践モデルの叩き台(原版)づくりを行う。構成要素(モジュール)を確定し、各構成要素(モジュール)の実施手順をフローチャート化およびチェックリスト化する(これは、実践モデルの叩き台(原版)をプログラミングする設計図となる)。モジュールのプログラミングは、業者委託する。業者によるプログラミング期間は5ヵ月を予定。仕上がったプログラムの内容・動作チェックと、不具合の修正をくり返し完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品において、デスクトップPCに150,000円、カラ―レーザープリンター複合機100,000円、Microsoft Office等基本ソフトウェアおよびSPSS等の統計解析ソフトウェアに150,000円を計画している。 2つの調査にかかる経費として、自治体対象の質問紙調査については、質問紙の印刷費200,000円、通信費(郵送料)300,000円、データ入力費300,000円を予定している。少数の自治体でのフォーカス・インタビューによる質的調査では、各自治体へ出向くための旅費として、5自治体(1日×5回)150,000円を予定し、この2つの調査に関する調査補助者の人件費を2人×10日(@1,000×100hrs)で100,000円計上している。 このほか、分担研究者、連携研究者、研究協力者との会議にかかる経費に、旅費3名×5回で200,000円を、会場費を20,000円とする。研究成果発表のための旅費に50,000円をあてる。
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