2015 Fiscal Year Annual Research Report
成年後見制度における社会福祉士の視点を生かしたアセスメントシートによる実証的研究
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24530754
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
山口 理恵子 長野大学, 社会福祉学部, 准教授 (90582263)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 権利擁護 / 成年後見制度 / 意思決定支援 / アセスメント / ガイドライン |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は2014年度に作成したガイドラインを成年後見制度における本人保護と本人の意思尊重について相克のある10ケースに適用し再検証を行った。その結果、本人の意思決定をアセスメントする際の前提として本人の日常生活能力と社会的能力に対するより専門的な評価が必要であることを発見するに至った。後見人等就任後早期のうちに両者に対する詳細なアセスメントを行うことで本人の生活歴及び意向と周辺環境を可能な限り明らかにし、受任後の課題を発見することが可能になる。そこで①「本人調査票」と②「相談受付・アセスメント票」の2つのツールを作成した。 障害者権利条約を契機に今や本人の意思を基礎に置く本人主体の意思決定支援のあり方は世界共通のものとなりつつある。そこで社会福祉の視点に基づいた日常的能力と社会的能力の評価というアセスメントを実施することは、後見人等が意思尊重義務と善管注意義務という、場合によっては相反することのある職責を担いつつ、本人を支援する際の課題と葛藤を軽減し、ひいては後見業務の質の一定化を図ることにつながる。またこのようなツールを用いることにより、受任後に予想される課題に対する対策を立てることが可能になる。さらに、将来本人の意思を確認することができず推定せざるを得ない場合に後見人等による代理・代行権行使の際の一定の判断基準・根拠とすることが可能になる。 この結果については第63回社会福祉学会において「成年後見制度における社会福祉士の視点を生かしたアセスメントシートの構築」として発表を行った。現在論文として発表するために更なる整理と検証を行っている。
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