2012 Fiscal Year Research-status Report
戦前日本の地域福祉の特質に関する基礎的研究―道府県統計書にみる救済構造―
Project/Area Number |
24530755
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
池本 美和子 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (90308932)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本福祉史 / 戦前期社会事業 / 道府県社会事業 / 地域福祉史 |
Research Abstract |
本年は大正期の府県統計書(マイクロフィルム)のコピーを進めながら、エクセルで各府県に共通する数値の入力(基礎データ作成)を行った。 マイクロフィルムのコピーについては、当初の想定よりも分量が多く、一リールにつき平均80枚ほどのコピー量があり、結果として本年度内で大正期全道府県の統計書コピーの完了は次年度に持ち越された。完了した府県は、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京府、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県である。 コピー分量の増大の要因となった社会事業関連項目を挙げておく。 <教育>における就学免除・就学猶予者の内訳に貧困、視聴覚障害等を理由とするものがあること、教育経費のその他に夜学校補助、青年団補助などが含まれていること。<警察・衛生>分野で棄児、精神障害者、ハンセン病患者等のデータがあること、府県によっては工場災害および疾病状況のデータがあること。<商業・金融分野その他>における物価動向、質屋数、工場数、産業組合数など。<社会事業>分野において個別施設ごとの利用者、経費等に関する詳細なデータが掲載されていることなど。こうした多様な情報の存在が確認できたことは、明治期の動向、さらには昭和期への変化を見るうえで重要な分析要件となった。 基礎データ化作業は、多様なデータから共通データの確定作業に時間を要し、3月に入ってようやく全体の枠組みを確定する見通しがついたため、入力作業は北海道と大阪府の2件のみとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅れの原因はマイクロフィルムコピーの分量に関係している。一リールにつき平均80枚ほどのコピー量があり、計画当初の2.6倍、前倒し請求により増額する際の理由に挙げた分量の60枚をも上回る量となり、一リールにかけるコピーに要する時間も倍増した。結果として300リール想定のところが161リールとなり、コピー枚数13066枚、1リール平均81枚となった。情報量の多さは、その後の基礎データの枠組みを確定する際にも手間取ることとなり結果として入力に着手する時期が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に繰り越している約8.8万円については、大正期の府県統計書のマイクロフィルム、1リールあたりのコピー量が倍増した結果、所要時間も倍増したため予定のリールコピーを完了できなかったことによる残額である。次年度以降の課題は、増大した分量のまま如何にして遅滞なくコピーを進めていくかということになる。 次年度からは、大正期の残りの府県統計書および昭和期の府県統計書を同志社所蔵のマイクロフィルムからコピーするとともに、本学所蔵となる明治期の府県統計書についても同時に複写していくことによって、各年度の遅れが積み重ならないような工夫をしていく予定である。明治期の府県統計書については平成26年からの予定であるが、その一部を次年度(25年度)から着手することによって27年度までには遅れの修正が可能となるように努める予定。基礎データ化については、枠組みが確定していることから、今後の入力については問題なく進められる状況である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
その他の支出として、繰り越し分の8.8万円はマイクロフィルムのコピー費に充当する。大正期の府県統計書残部(約115リール)について約28万円、昭和初期の府県統計書(約140リール)について約34万円、明治期の府県統計書(約100リール)について6万円を予定。計68万円。 資料調査旅費 4万円、消耗品費 6万円 計 10万円 総計78万円。
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