2012 Fiscal Year Research-status Report
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24530757
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
大森 弘子 佛教大学, 福祉教育開発センター, 講師 (90445974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 仁 梅花女子大学, 心理こども学部, 教授 (90549669)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 育児不安 / 親 / 子育て支援 / サポートシステム / 日米比較 / 援助要請 |
Research Abstract |
1.研究目的・・・共働き世帯の家庭の変化が社会的関心事となり、親が家庭役割と仕事役割の多重役割による葛藤問題に直面している。この葛藤や育児不安を抱える親子を支援することを「子育て支援」と呼び、社会全体が子どもを産み育てやすい豊かな子育て環境作りを目指し、授かった“いのち”を全うさせるためのサポートシステムの構築が急務である。本研究の主目的は、育児不安を抱えて笑顔が少なくなった親が笑顔を取り戻すことができるサポートシステムについて検討することであり、本年度はアメリカ・カリフォルニア州での講演3回と視察5日間、アンケート調査2回、面接調査1回を実施した。ここでは地域子育て支援に貢献する保育士に着目し、全国保育士養成協議会『保育士養成研究』(査読有)「保育士の専門性を活性化するキャリアパスの構築に向けて-専門性に応じた実践を推進する保育園の取り組みを通じて-」(大森・太田他,2013)に関する研究成果を報告する。 2.研究方法・・・(1)調査目的;保育士を目指す学生と現職の保育士を調査対象とし、何を保育士の専門性とするのか、何が保育士の職務効力感なのかを明確にすること。(2)調査方法;学生(60名)と保育士のキャリアパスを実践している保育園の現職の保育士(60名)を対象として、郵送と持ち込みによりアンケート調査を行った。(3)調査時期; 2012年5月~9月 3.研究成果・・・(1)保育士のキャリアパスに沿って、保育士を希望する学生と現職の保育士から提議された“保育士の専門性”について、“自身を発展させ意欲を維持していく力”を基礎にしていることを明らかにした。(2)保育士が“子どもの成長”“子どもと共に成長”“地域とのつながり”を職務効力感としていることが示された。(3)キャリアパス実践を行っている保育園では専門保育士がそれぞれの専門性を発揮していることが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展している。 高い出生率と女性が働きながら子育てのできるワーク・ライフ・バランスのモデル国であるアメリカの海外研究協力者(山村)との情報交換により子育てサポートシステムについての最新の情報を得た。その上で、2013年2月23.24.25日、太田(研究分担者)がアメリカ・カリフォルニア州の3ヶ所で主に育児不安を抱える親を対象とした開発的カウンセリングを実施した。その結果、参加した親に笑顔が戻ったように見られた。今、その開発的カウンセリングと2013年2月23.24.25.26.27日のアメリカ視察を踏まえ、総合的な分析と考察を進めているところである。「親子の笑顔」を支援するため、「子育て支援に求める親の声」について日米比較検討を進めている。 また、子どもの発達をベースにした「少し先を見通した子育ての知識」を学ぶことのできる児童館での「0歳時期の親子の絆づくり」の実践に注目し、親に内在化された問題が何か、どのような働きかけが親の問題解決に有効であるのかについて、実証的に明らかにした。その結果「0歳時期の親子の絆づくり」に参加した親は、「共感」「受容」「開放」というプロセスがわかった。これは岡(1995)のセルフ・ヘルプ・グループの機能モデルとしての「わかちあい」「ひとりだち」「ときはなち」と類似したものであった。 一方、児童虐待予防に一番効果があるという理由でアメリカ全土に広がっている「健康な出発」プログラム(ハイリスク妊婦は、専属のソーシャルワーカーと面接をし、子どもが生まれて5歳になるまで、定期的に指導や訪問を受ける。) については学びが浅く、今後の課題となる。 なお、地域子育て支援に貢献する保育士に着目した研究は「研究実績の概要」で報告し、ここでは割愛する。
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Strategy for Future Research Activity |
親の多重役割負担を軽減する「子育て支援に求める親の声」を2013年度中に明らかにする。また、親の援助要請を促進する3 Gate model(太田・高木,2010)による段階的保育支援システムを構築する。具体的には、1st Gateにおいて、保育現場で「苦しくて助けてほしい」と悩んでいる親のスクリーニングを行い、2nd Gateにおいて、同じ子育てに悩む複数の親が集まり、情報や情動を分かち合い、子育て支援による育児効力感の回復と達成感を感じ、3rd Gateにおいて、セルフ・ヘルプ・グループとして自主的・自発的な活動行い、助け合いの規範に気付きながら、悩みを共有して親はエンパワメントされていく さらに、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいるが「女性の就業率が低く出生率も低い」京都府(厚生労働省、2010)、その対極にあり「女性の就業率が高く出生率も高い」アメリカ・カリフォルニア州、東洋経済(2012)の発展力がある町全国3位の愛知県稲沢市(実施時期:平成25年4月)の3ヶ所において、子育て支援のフィールド調査の情報収集を行う。フィールド調査にあたり、国内研究協力者(京都府・愛知県・アメリカ・カリフォルニア州の幼稚園教諭・保育士数名)との研究協力体制を作る。また、国内研究協力者の保育士との関係性を考慮し、愛知県で育児経験のある研究分担者(太田)が愛知県を担当し、京都府で子育て支援活動を行っている研究代表者(大森)が京都府を担当するという分担体制をとる。また、子育て支援の実践を通して、「3 Gate modelによる段階的保育支援システム」を明らかにしていく。(実施時期:平成25年8月~10月, 20回程度の調査)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に172,967円の未使用が発生した理由は、研究費を大切に使うため、人件費をできるだけ削減し、研究代表者自らがテープ起こしや打ち込みなどの仕事を行ったためである。 ①消耗品 ・デジタルカメラ記録メディア(SDカード)(@1×10個) ・プリンターインク(@1×10個) ・文房具代(30) ・子育て支援関連書籍(@4×10冊) ・子育て支援関連雑誌(@1×50冊) ②海外旅費 ・現地調査(アメリカ)(1名×5日間)(292) ③研究補助(2名)( @0.8×2h×40回) ④保育士謝金 (アンケート)( @0.5×80名 ) ⑤その他 ・複写費(20) ・通信費 (70) ・論文別刷( @1×10回 )、以上の合計700(千円)であり、費用対効果を考えて有効に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(10 results)