2013 Fiscal Year Research-status Report
職員の「意識変容」に働きかける職場環境・職員集団づくりのためのモデルの構築
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24530758
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
岡本 晴美 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (80331859)
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Keywords | 人材育成 / 専門性 / ソーシャルワーク / 研修体系 / OJT / OFF-JT |
Research Abstract |
本調査研究は、「職員の『意識変容」に働きかける職場環境・職員集団づくりのためのモデルの構築」を研究課題として掲げ、職場内での人材育成システムの構築に資することを目指している。研究期間3か年の2年目にあたる平成25年度は、人材育成のシステム化に向けて、職場内における研修(OFF-JT)およびOJTを連動させた仕組みとしての体系化を課題として設定していた。 昨年度に引き続き、2つの児童養護施設を対象として、職員との共同作業による人材育成の体系化に取り組んだ。その結果、得られた知見を簡潔に述べるならば、人材育成には2つの循環を取り入れることが必要であるということである。一つは、「研修内容と連動させた実践の場の循環」、もう一つは、「育てられる人と育てる人の循環」を仕組みのなかに盛り込むことである。 当該研究では、職員の「意識変容」が必要であると考えているが、研修で学んだことを実践で繰り返し検証すること(研修内容と実践の循環)によって、「意識変容」は促進される。また、その学びを他者に語ること、すなわち、自分の言葉で表現すること(育てられた体験を育てる体験へと還元する、人の循環)によって、さらに、「意識変容」は促されると同時に、職員集団としての意識・方向性の統一につながり、集団としての力量の形成・蓄積・継承に貢献しうると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、平成24年度に準備を行った、モデル構築のための理論的基盤の整備をもとに、実際に職場での人材育成に導入していくことを目指していた。この点については、昨年度に引き続き、2つの児童養護施設の協力を得て、試行的に一部導入を行うことができた。当初は、1年間で体系化を完了する予定ではあったが、実際には、一部導入と限定的となった。その理由は、以下の通りである。 現在の社会福祉の現場の状況に鑑みるならば、職場内で人材育成をある程度、完結しうる仕組みが必要であると考える。そのためには、職員みずからが、企画し、実施し、検証するというプロセスをともに経験することを通して、その体験を次の世代に伝え、継承し、蓄積していくということが不可欠である。そのため、体系化を急ぐのではなく、集団的に議論を重ね、丁寧に、かつ確実に実践を通して積み上げていくプロセスを作り出すことを優先し、一部導入として限定している。 平成26年度には、残された部分についての検討を重ね、導入に臨む予定である。 以上のことから、「おおむね順調に進展している」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24,25年度に引き続き、2つの児童養護施設を対象とした調査研究を継続する。2つの施設はともに、それぞれの施設の事情を勘案しながら、また、これまでの研修や人材育成の仕組みをできる限り生かす形で、人材育成システムの構築に向けた取り組みを模索している。 本年度は、最終年度であることから、人材育成システムとしての体系化に向けた研究成果のまとめを行うと同時に、課題を明確にする。先にもふれたように、実践(取り組み状況)としては、体系化に向けた一部試行的実施というのが現段階の状況である。全体的な体系化の構築を目標として、社会福祉現場の職員と共同で、現場の実態に即したモデルとなるように協議を積み重ねる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年4月より、新しい職場へ赴任し、調査研究の協力施設のある地域から遠く離れた場所に勤務地を定めることになった。そのため、協力施設までの旅費が、研究開始当初に想定した金額から大幅な増額とならざるを得なくなっている。平成26年度についても、協力施設を訪問し、職員との共同作業を行うことが必要であることから、旅費の充当額としてはわずかではあるが、次年度に繰り越したいと考え計画的に執行し、次年度使用額として繰り越した。 平成26年度も、平成24、25年度に引き続き、調査研究の協力施設の職員とともに、共同作業を行い、施設内での人材育成のシステム化、研修の体系化に向けて、調査研究を進める予定である。 平成25年度と同様に、他の研究領域の知見に学ぶべく、主として東京、広島で開催される研究会・学会への積極的な参加を行い、理論的モデル構築の充実を図るとともに、検証のための指標についても考察したい。また、必要に応じて、他の福祉施設へのインタビュー・アンケート調査を企画する。
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