2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530761
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
秋葉 武 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (00340480)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 日本:韓国 / 非営利組織論 / 社会福祉学 / 社会的企業論 / 政治学 |
Research Abstract |
「政権交代」といった常態的な政治的な流動化とNPO(市民団体)との関係をテーマとする本研究では、他の外部資金を充当しつつ、研究を行った。具体的には研究実施計画に基づいて、①調査の基本設計の作成 ②本調査を行った。 ①では過去の研究蓄積を分析し、一部NPOに対する予備調査を実施しながら、調査の基本設計の作成に努めた。対象となるNPOに関して、研究代表者が実施してきた過去の研究蓄積(データ及び関係資料)を分析した。同時に日本の民主党政権下で社会的企業政策に関わった各アクター(市民団体等)との情報交換を行った。また韓国の李明博・前大統領、及び盧武鉉・元大統領下で社会的企業政策に関わったアクターから情報交換を行い、基本設計を適時修正した。 ②本調査ではまず日本の当該NPOに対する関与型フィールドワークを開始した。社会的企業政策関連の外部資金がNPOに投入されることにより、NPOの基盤形成にどのような影響があるかを考察した。とりわけ事業の急拡大に伴って、組織マネジメントに大きな影響を及ぼしており、資金を効率的に活用して事業を軌道に乗せ、社会的なインパクトを与えるには様々な要件、ハードルがあることが伺われた。こうした課題を精査するなかで、当該NPOに対して、理論的、実践的な中間的な研究成果を提起することができた。その結果、(NPOの基盤形成の鍵となる)各ステークホルダーの特定が進み、次年度より掘り下げた本調査を実施することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本のNPOの本調査については概ね、研究計画通り進んでいる。他方、韓国のNPOの本調査については、現地の社会状況(2012年度の大統領選挙及び交代等といった政治環境の変化)もあって、当該年度後半に掘り下げた調査を行うことが難しく、研究がやや遅れている。それを取り戻すため、次年度に本格的な調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き本調査を遂行し、データを集積した上で研究を行う。日本では2010~2012年度の3年間に、(NPOの受託を想定した)政府による各種社会的企業支援事業が実施された。本事業に関して、市民社会ではインフォーマルな議論や評価が行われている。本調査ではこれらを踏まえて、事業評価の構成要素に関して精緻化を行う。単に構成要素を羅列するのでなく、具体的かつ実践的な類型化を行う。例えば、受託した社会的企業支援事業の「計画」「実施」「評価」といった各段階に分類した上で、要素の抽出に努める。 韓国では当該年度の大統領選挙を経て、次年度本格的な社会的企業政策が打ち出され始めた。併せて市民社会で前政権の社会的企業政策に関する議論や評価が始まっている。本研究はこれを充分踏まえて日本同様、実践的な構成要素の抽出を行う。 ここまでの研究成果の報告については、関連学会(日本NPO学会等)の全国大会あるいは地方部会で報告を予定し、学術雑誌への投稿も予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の韓国現地調査の過程で、現地のハンギョレ経済研究所と今後、共同研究をしていくこととなった。それを踏まえて、次年度の夏に京都、冬にソウルで研究会を開催する予定である。テーマは「日韓の社会的企業及びCSR」を想定している。韓国では(政府からの奨励もあって)企業がCSRの一環で、社会的企業支援を行っていることからこのテーマについても研究を進めていく。 研究費の一部は研究代表者の現地訪問及びソウルからの研究者招聘に充当する予定である。招聘予定者は同研究所から2名、(社会政策に詳しい労働組合系シンクタンクである)保健福祉資源研究院から1名、現在、定住外国人支援を行う社会的企業から1名を想定している。
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