2013 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設における集団的逸脱行動に対応する実践モデル開発に関する研究
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24530764
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
遠藤 洋二 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 准教授 (90588716)
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Keywords | 児童養護施設 / 児童間暴力 / 児童自立支援施設 / 措置変更 |
Research Abstract |
本研究の目的は、児童養護施設に入所する児童による身体的、性的暴力など暴力行為を中心とした逸脱行動によって、危機的な状況となっている児童養護施設において、その緩和あるいは解決に向け、児童相談所(措置機関)・児童養護施設(当事者)等が実施する介入的アプローチの方法を、M-D&D(Modified Design and Development)の手続き(芝野松次郎:2005)に沿って開発しようとするものである。本研究は、量的、質的調査によって「実践モデル」を導き出し、具体的な手続きを記した「実践マニュアル」の形で提示する。 ①児童養護施設職員に対するインタビュー調査 兵庫県・沖縄県・千葉県の児童養護施設(16箇所)に対して、「暴力等逸脱行動」・「発生要因」・「対応状況」等についてのインタビュー調査を実施した。インタビュー調査は、ターゲットとなる課題(児童養護施設における児童間暴力)の緩和、あるいは解消を目指した実践モデル(マニュアル)を開発するための実践例の収集、および、本研究への協力(インタビュー調査・モデル策定への協力実践モデルの試行など)施設を探索することを目的としたものであった。 ②児童養護施設から児童自立支援施設に措置変更になった児童に関する調査 これまで、全国58箇所の児童自立支援施設のうち、55箇所(国立2箇所、実質的には自立援助ホームである施設1箇所を除いた)に対して、質問紙を用いた郵送調査法による調査を行った。調査対象は、2009年度~2011年度の期間に児童養護施設から措置変更された児童で、各児童について担当職員が43項目の設問に対して単一回答した。55箇所のうち36箇所から回答を得て、324名の措置変更児童に関するデータが集約された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①児童養護施設職員に対するインタビュー調査 焦点をあてる課題がセンシティブな内容のため、インタビュー実施前には各施設を協力依頼のため訪問するなど、し、協力への理解を求め対象となる児童養護施設職員の特定に予定以上の時間がかかったものの、積極的に研究協力を申し出た施設も複数見つかった。 ②児童養護施設から児童自立支援施設に措置変更になった児童に関する調査 2014年度当初にアンケート調査を実施したものの、返送遅延、返送データの不整合が多数出たため、データ整備に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
①児童養護施設職員に対するインタビュー調査 予備調査の結果を質的(M-DTA)に分析した後、本格的な調査に向けたインタビューガイドを策定し、上記の児童養護施設のうち3箇所を選定し、事例を担当した職員および当該事例の対応に関して中心的役割を担った職員に対してインタビュー調査を実施する。なお、インタビューはICレコーダーダーを用いて録音し、逐語化した後、質的(GTA)することで、「児童間暴力を強化させる集団」、「児童間暴力を緩和させる“臨床の知”」など、実践モデルの中核を成す概念を生成したい。また、当該調査の結果に基づき必要に応じて、対象を広げて量的調査を実施することも想定している。 ②児童養護施設から児童自立支援施設に措置変更になった児童に関する調査 当該データを分析した後、必要に応じて、回答のあった児童自立支援施設へのインタビュー調査を実施したい。また、措置変更児童自身へのインタビュー調査も、調査協力者(児童自立支援施設出身者)の選定、研究者所属機関の研究倫理委員会の承認は得ているものの、倫理的配慮を慎重に検討した上で可能であれば実施したい。 上記の調査を実施後、今年度に可能であれば実践モデルの「叩き台」を策定し、研究協力者(児童養護施設、児童自立支援施設、児童相談所職員)に提示し、意見聴取の機会を設けたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
他の研究費で購入した物品の使用、インタビュー謝礼の受領をしなかったインタビュイーが多かったため、予算額まで到達しなかった。 遠隔地へのインタビューが増えるため、旅費に充当したい。
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