2012 Fiscal Year Research-status Report
英国高齢者福祉政策における「パーソナライゼーション」の影響測定に関する研究
Project/Area Number |
24530766
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | 近畿医療福祉大学 |
Principal Investigator |
八木橋 慶一 神戸医療福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (70570349)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩満 賢次 聖カタリナ大学, その他部局等, 講師 (00454893)
正野 良幸 京都女子大学, 家政学部, 助教 (90514167)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | イギリス |
Research Abstract |
平成24年度は、研究代表者と分担者で24年9月および25年3月に英国で予備調査を2回行った。また25年3月には、ポーツマス大学のノーマン・ジョンソン名誉教授を招聘し、英国のパーソナライゼーションと準市場の動きについて講演会および研究会を開催した。渡英調査では、地方自治体(ロンドン・サザーク特別区)を2度にわたって訪問し、ソーシャルケア部門のパーソナライゼーション関連担当者にヒアリング調査を行った(それぞれ別の担当者)。 2回におよぶヒアリングで判明したことは次の点である。まず、パーソナライゼーションは高齢者を含むソーシャルケア・サービスでは定着していることである。その理由は個人のニーズに合致しており、権利の実現にふさわしいとされていることである。次に、受給者の状態についてはアセスメントシートで把握しており、ブローカーが調整を行っているとのことであった。 直接支払の額については個人差があり、一概には言えないとのことであった。高齢者、知的障害、身体障害、精神障害といった区分でも大きな差異があり、知的障害者に対する一人当たりの支給額は他の受給者の2倍以上であることが判明した。直接支払の執行には、カウンシルが監視することになっており、不適当な使用を防いでいるとのことであった。なお、サザークには障害者へのサービスを提供する業者は9つあり、すべてプライベートセクターであるとのことであった。ボランタリーは研修や人件費に多くを費やす傾向があり、駆逐されたとのことである。これらのヒアリングからは、パーソナライゼーションがイギリスのソーシャルケア・サービスの提供のあり方に、とりわけ準市場の浸透に大きな影響を与えている点を確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡英調査を実施し、地方自治体のパーソナライゼーション担当部門で職員からヒアリングを行うことができた。また、研究者を招聘して講演会および研究会を開催し、パーソナライゼーションが現代の福祉政策に与えるマクロな影響に関する知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も渡英調査を行う予定である。24年度の予備調査の成果を踏まえ、パーソナライゼーションに基づいて実際にサービスを提供している機関の調査を考えている。特に、サービス提供の主力となっている民間セクターを重点的に行いたいと考えている。また、サービス提供機関側のスタッフを招聘し、研究会の開催を検討している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額(23,500円)については、文献やパソコン周辺機器の購入に使用する予定である。
|