2013 Fiscal Year Research-status Report
英国高齢者福祉政策における「パーソナライゼーション」の影響測定に関する研究
Project/Area Number |
24530766
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Research Institution | Kobe University of Welfare |
Principal Investigator |
八木橋 慶一 神戸医療福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (70570349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩満 賢次 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (00454893)
正野 良幸 京都女子大学, 家政学部, 助教 (90514167)
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Keywords | イギリス / パーソナライゼーション / 福祉行財政 |
Research Abstract |
平成25年度は、研究代表者と分担者で25年8月と11月に渡英調査を行った。また25年10月には高齢者ケアに関する中間支援団体「スキルズ・フォー・ケア」のジェームズ・クロス氏、およびロンドン特別区のランベス区でソーシャルサービスを提供する社会的企業「トパーズ」代表のディー・ケンプ氏の二人を招聘し、パーソナライゼーションに基づくソーシャル・サービスの運用実態に関する研究会を開催した。全国レベルでの政策研究・提言を行う「スキルズ・フォー・ケア」、実際にソーシャルサービスを提供している「トパーズ」の実務家から最新の動向を確認できた。 また、25年9月には全国学会(日本社会福祉学会)において、パーソナライゼーション政策が自治体の福祉財政に与える影響に関する報告を行った。同報告では、パーソナライゼーション政策の狙いは、利用者によるサービス選択という理念的な面だけでなく、競争原理の導入によるサービスの効率的提供、それに伴う費用抑制といった面があることを指摘しつつ、実際には介護政策の予算が増加している事実を調査先自治体(ロンドンA区)のデータから指摘した。特に知的障害者のように、マーケットが小規模の場合はパーソナライゼーション政策の狙いの一つであった競争原理が機能していなかった点を明らかにした。市場原理を活用する介護政策の下で利用者の選択や財源のコントロールを行うためには、財源をどのように確保するかが極めて重要であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡英調査を実施し、自治体のパーソナライゼーション担当部門の職員からヒアリングを行うことができた。また、民間セクターの職員をイギリスから招聘し、パーソナライゼーションに基づくソーシャルサービスの運用実態を全国レベル、自治体レベルの両面から確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は最終年度であり、研究の成果を論文として公表することを考えている。現在原稿を執筆中である。また、追跡調査を行うため、本年も渡英調査を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分担者が校務などにより渡英調査ができなかったため、次年度使用額が生じた。 渡英調査および図書費に利用する計画である。
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