2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530767
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
才村 眞理 帝塚山大学, 心理学部, 教授 (50319919)
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Keywords | ライフストーリーワーク / ライフストーリーブック / 社会的養護 / 生殖補助医療 |
Research Abstract |
1.児童福祉施設等に暮らす子ども達へのライフストーリーワークの実践方法を研究した。 ・施設職員等における、ライフストーリーワークの考え方や必要性、その実践環境の現状について調査研究するため、10回の講演会にて335人に対してアンケートを実施した。・児童相談所職員等における、ライフストーリーワークの考え方や必要性、その実践環境の現状について研究した。研究協力員(児童福祉司、児童心理司等)との研究会を実施し、作成済みの実施マニュアルである「ライフストーリーワークの開始にあたって」の有効性について研究した。また、ライフストーリーワークのトレーニング・プログラム作成のための、実践モデルの検討、特にトレーニングのための演習方法を検討した。・英国SACCS(子どもの治療施設)の治療的ライフストーリーワークを学び、日本における実践方法について研究した。しかし、治療的ライフストーリーワークの日本での実践は、理念や方法の手順では学ぶべきところが大きいが、英国での実践と同様に日本では実践しにくいことが判明した。そのため、英国リーズ市や里親支援団体であるコアセッツの実践について学び、日本での実践導入について研究した。 2. 生殖補助医療により生まれた子どもへのライフストーリーワークの実践方法を研究した。 ・真実告知準備のため、生殖補助医療により子どもを持ちたい(すでに持った)夫婦のグループワークのプログラム及びライフストーリーワークの可能性を検討するため、イギリスの生殖補助医療により子を持つ親にインタビューを行った。・生殖補助医療で生まれた子ども(人)にとって、ライフストーリーブックを使用したライフストーリーワークの有効性を研究するため、生まれた人へライフストーリーブックを使用した、ライフストーリーワークを実施した。また、その有効性について、ナラティブにインタビューを行った。(3年間継続)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度については、児童施設等の子どもたちへのライフストーリーワークの実践方法の研究について、前年度の研究を踏まえ、より実践可能な方法について具体的に研究できた。しかし、当初は英国の実践をモデルとした治療的ライフストーリーワークについての日本版を作成する予定であったが、日本との法律、制度、社会的養護児童への援助体制に大きなギャップがみられ、治療をメインとするライフストーリーワークを実践できる体制づくりは日本では困難であると考察した。このため、治療的ライフストーリーワークではなく、(治療的という言葉を外した)「ライフストーリーワーク」の日本版実践をめざしたマニュアル作りを研究する方法に、修正した。 生殖補助医療で生まれた子どもへのライフストーリーワークの実践方法の研究については前年度に引き続き、生まれた人へのライフストーリーワークやナラティブにインタビューを実施し、研究を続行した。また、生殖補助医療により子どもを持ちたい夫婦へのグループワークについても研究した。しかし不妊カウンセラー等へのインタビューは今年度実施できず、次年度に実施する予定とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.児童福祉施設の子ども達へのライフストーリーワークの実践方法を研究し、具体的実践体制を整えることに貢献する。 ・ライフストーリーワーク実践者向けトレーニング・プログラムを日本版実践ガイドの一環として、作成する。研究方法として、児童相談所や児童福祉施設職員向けの研修を実施し、トレーニング・プログラムの効果について研究する。このプログラム作成については、英国SACCS(子どもの治療施設)の治療的ライフストーリーワークの理念、方法、技術を参考とし、英国リーズ市のライフストーリーワークや里親支援団体であるコアセッツの実践も参考とする。また、すでに作成した、日本版実践ガイド「ライフストーリーワークをはじめるにあたって」の効果についても研究する。次に、児童施設等の子どもに対して、ライフストーリーワークについて説明する冊子を作成する。 2. 生殖補助医療により生まれた子どもへのライフストーリーワークの実践方法を研究する。 ・生まれた子へのライフストーリーワークとしての真実告知、出自を知る権利行使の実践ガイドを作成する。そのために、不妊カウンセラー等へのインタビューを実施する。・前年度に引き続き、生殖補助医療で生まれた人にとって、ライフストーリーブックを使用したライフストーリーワークが有効かどうか、研究する。この研究方法として、引き続き、生まれた子ども(人)へライフストーリーブックを使用した、ライフストーリーワークを実施するとともに、ナラティブにインタビューを行う。(3年間継続)・作成した卵子提供の告知のための絵本の効果について研究する。他の絵本との比較も行う。真実告知・出自を知る権利行使が出来るための準備プログラムを考案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
児童福祉施設等の子どもたちにライフストーリーワークを実践するためには、実践者へのマニュアルが重要であるが、いざ実施しようとすると、はじめに実施する対象である子ども自身へ、ライフストーリーワークをわかりやすく説明し、スタートしてよいかどうかの同意を得る必要がある。そのために当初の予定にはなかった、ライフストーリーワークを子どもへ説明する冊子を作成するために、研究最終年度に、予算を残した。子どもはさまざまな年齢の子どもや、幼児や障害のある子どもにも手に取りやすく、理解しやすいものを作成する必要がある。そのため、カラー版でデザイン性の高いものにしたいために、約50万円の予算を取る必要があった。 ・ライフストーリーワークのマニュアル(トレーニング方法)の印刷費用 30万円 ・ライフストーリーワークの子どもへの説明冊子の印刷費用 50万円・イギリスの専門家を招へいし、専門的知識の享受、通訳費用等 38万円・学会(日本子ども虐待防止学会)発表 研究代表者旅費及び参加費 3万円、研究協力者 2名旅費及び参加費 6万円、発表準備会合2回 研究協力者 旅費及び謝礼3万円・生殖補助医療により生まれた人へのインタビュー 旅費及び謝礼 10万円・不妊カウンセラー等へのインタビュー 研究代表者旅費及び謝礼10万円・翻訳費用 10万円 (額についてはおよその概算である)
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