2014 Fiscal Year Annual Research Report
まちの中で暮らす:沖縄のコミュニティにおける高齢期の地域居住システム
Project/Area Number |
24530772
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Research Institution | Shizuoka University of Welfare |
Principal Investigator |
西尾 敦史 静岡福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40389721)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会福祉 / 地域包括ケア / 地域福祉 / 介護保険 / コミュニティ / 福祉レジーム |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢になって介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができる地域居住(エイジング・イン・プレイス)を実現するための条件を検討することを目的とした。基本的な枠組みとして、国家・市場・家族にコミュニティを加える福祉レジーム論を採用している。その上で、公の介護保険サービスや施設だけでなく、コミュニティに地域居住を支える資源が存在すること、また支え合う関係性(つながり)があることが重要な条件となるが、地域居住が可能となるようなコミュニティ、地域資源、公共サービスの協働システムの実証的研究から、政策インプリケーションが得られた。 (1)地域居住を可能にするコミュニティの条件を分析指標から類型化し、①都市部、②基地周辺、③農村、④移住者地域、⑤離島、⑥集合団地について比較研究を行い、コミュニティ特性に合わせた地域包括ケアの有効性について検討を行った。 (2)地域包括ケアの事例研究からは、コミュニティカフェや自宅開放型の常設居場所づくり、職員配置による見守り支援システムも効果をあげており、自宅や職場以外のゆるやかな関係がつくられる「サードプレイス」を地域社会の場として政策的に位置づけていく有効性が示唆された。 (3)居住の主体である高齢者本人からは、ライフヒストリーとコミュニティにおける関係性が生活のスタイルを決定する側面が強い影響をもつことが明らかになり、コミュニティの特性を踏まえた居住継続支援策としての地域包括ケアの重要性が浮き彫りにされた。あわせて、(4)地域居住の前史となる施設ケアから在宅ケア、さらに地域ケアに至るケアの史的、言説分析については、施設解体・脱施設思想の生成・転換過程の文化史的検討を行い、さらに比較の対象として、東アジアの家族主義とケアサービスの社会化の状態を福祉レジーム論に基づき分析を行い、地域居住政策の展望について若干の提案を行った。
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