2012 Fiscal Year Research-status Report
社会資源を活用した町型子ども・子育て支援ネットワークのあり方に関する研究
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24530773
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamamura Gakuen College |
Principal Investigator |
鈴木 孝子 山村学園短期大学, その他部局等, 教授 (30030050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 淳一 山村学園短期大学, その他部局等, 准教授 (50461760)
羽岡 佳子 山村学園短期大学, その他部局等, 講師 (80556671)
村石 理恵子 山村学園短期大学, その他部局等, 講師 (90556672)
山村 穂高 山村学園短期大学, その他部局等, 准教授 (10310286)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中山間地 / 地域基盤 / 児童の発達 / 子育て支援 / 社会資源 / 町型ネットワーク / ワークライフバランス / 多世代市民活動 |
Research Abstract |
内 容:A県B町(人口約1万5千弱現在)における次世代育成支援行動計画前期は、国・県の支援施策、事業等の助成を受け、進められてきた経緯がある。そこで今回の研究目的である、「町型の子ども・子育て支援システムの新たな展開」を展望するための基礎資料の一つとしてグループインタビューによる質的研究を実施した。調査対象を子育て支援サービス利用者群とサービス提供者群(専門職者群と市民活動者群の2群から成る)に分け、それぞれ4、2、3団体の計9グループに対し調査を実施した。 意 義:B町は、ここ20年来人口減少をたどる自治体であり、当然出生率も県内で最下位に近いところを低迷してきた。少子化対策等、国の施策を実施するだけでなく、町環境を自覚し、町民みずからの参加を活性化する活動と計画を改めて町独自に発想する視点も重要になる。今回、グループインタビュー法を用い、町の子ども・子育てに関わる関係者、計68名が調査協力者として参加し、具体的な発言をし、改めて町の子ども・子育て支援について考える機会となった。 重要性:行政、公私の市民活動を含め、児童分野、特に就学前児童の分野も、先を行く高齢者分野同様、生活を支える新たな協力・連携システムづくりがなくては、そこで生活する市民にとって生活に密着した利便性に欠ける。B町は、A県の中央に位置する中山間地で農業を主とする自然環境豊かな町である。国の施策が全国的に大網を掛けるものであるとしても、各市町村独自の社会・経済・産業、文化等の特色を活かし、新たな時代と社会環境に相応しい、独自の多様なシステム開発による協力、連携のあり方を展開することが重要になる。多世代市民が参加しやすいシステムづくり原案を提示したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関係部署の協力度:研究目的の趣旨からすると町行政、教育担当課、社会福祉担当課等の協力は欠かせない。これがなければ、この研究自体始まらないと考えていた。幸い研究代表と研究分担者5人の所属する短期大学教育センターは平成17年の準備段階からB町のひろば事業設立と開始に協力し、平成20年、ひろば事業開設後、その運営を町から委託されてきた。そのような事前の関係が良好であったこともあり、大学学長から町長への依頼状も受理され、関連担当課の町健康福祉課課長、教育委員会委員長にも最初の調査実施要領等の説明会開催後、面談のうえ了承していただき、ここまでは順調に進んできている。 調査実施状況と達成度:当初の計画にしたがって、町の教育・福祉システム、サービスを中心に関わる人々にできるだけグループインタビューに参加してもらい、気の置けない雰囲気の中で参加者が日頃思っている率直な意見を出してもらうように努めた。実施団体は9つにおよび、それぞれの組織、団体の責任者と担当者への面談・説明を含め、会場の確保等、セッティングにも時間を要したが、これといった苦情もなく、順調に進んでいる。ただし、初年度の調査でもあり、研究チームの態勢づくり等も遅れ、研究目標の枠組みやそれにそった質問項目抽出の検討に時間を掛けたため、実際の調査は10月に入って開始した。そのため、次年度4月末まで調査を延長したが、当初計画通りに確実にデータを拾うことになった。概ね調査手順も収録データも参加した方々の感想も充実したものになっている。本年度の数量調査票のプリテストにもこれらの方々にご協力願う予定である。 本年度数量調査への寄与:グループインタビューによるかなりの量のデータを分析し、B町での子ども・子育てにどのような環境や人的資源、新たなサービスを必要とするかについての質問項目を立て、調査票作成に役立てる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策 等: 前年度調査結果の分析とまとめについて:今年度4月末まで延長したグループインタビューについて分析し、5月末までに報告書としてまとめ、印刷したものを各調査協力団体、町行政関係部署、担当者等に配布する。 今年度調査目標とそれ以降の予定:B町行政のこれまでの子ども・子育て支援策とサービス提供状況を分析し、前年度グループインタビュー調査結果から市民の意識、価値観、ニーズ状況を把握したうえ、総合的な視点から調査票作成を考える。調査実施に際しては、また全面的に町行政と担当課の協力を得て、これまでの調査結果の報告会を開催(7月予定)し、意見等もいただき、研究内容に反映させる予定である。グループインタビューの分析結果を経て、今年度数量調査の枠組みと調査票を作成し、協力団体を通じてプリテストに協力してもらい、調査用紙を完成させ、印刷する。更に、本調査実施について町に協力依頼をし、手順を確認のうえ、調査票配布と回収を9月中旬に実施する予定である。対象としては、町の全世帯のうち、小学6年生までの児童のいる世帯全戸とする。この調査用紙配布に際し、町行政の協力は欠かせない。実際の配布に際しては、幼稚園2か所、保育所1か所、小学校3か所、健康福祉課社会福祉担当(未就学児と他市町村保育所通所児童対応)、教育委員会(未就学児と他市町村幼稚園通園児童対応)を通じて依頼する。調査票は、1週間程度留め置き回収する。 次に調査データの分析を10月~平成26年2月までに実施する予定であるが、データ入力と単純集計・クロス集計を業者に委託する。その後、統計分析をする。町行政と町民の子ども・子育てニーズとワーク・ライフ・バランス意識傾向を比較し、分析する。また、B町独自の子ども・子育て支援、サービス活動参加意識やサービス開発意識の芽を探り、新たな支援活動の展開方法を模索し、最終年度のまとめに向かう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(B-A): 前年度グループインタビュー実施予定先(スポーツ少年団)と研究者(少なくとも団体調査実施に際し、司会進行と機器記録係等で3人の参加が必要)との日時、場所の調整がつかず、年度をまたぐことになった。また、実施後のテープ起こしにも2月実施分2か所については間に合わず、その他映像処理の不手際で結局5か所のテープ起こし分謝金等(約10万円)が年度内支出に間に合わなかった。そのため今年度としては分析用にプロジェクター購入代(約10万円予定)、研究会開催のための大学外施設借用代2~3万円(大学施設よりも使用が適切であると思われる場合)、映像記録用SDカード(1TB)約3万円を次年度分を含め、購入予定である。その他は、本年度研究予算概算を少な目に見積もっていたので、学会等出張旅費(1人分)10万円弱に充てる予定である。 次年度研究費の使用計画の内訳のうち、調査旅費部分に出張旅費が加わり、12万円の配分となる。人件費・謝金は研究補助費は予定額通りであるが、B町関係者の2人ほどにここ10年来の町行政の目標や計画について講義を受ける予定であるため、その分の謝金が追加される。32万円、調査用紙配布に当初予定していた通信費が低く抑えられる見通しではあるが、調査票用封書の印刷代や会議用大学施設外会議室借用代等、調査票配布協力依頼への謝礼等で予算どおりの執行が予定されている。
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Research Products
(2 results)