2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530783
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
飛田 操 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (60218716)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小集団問題解決 / リーダーシップ / 集団意思決定 |
Research Abstract |
情報が不十分であったり,混乱していたとしても,状況が緊迫しているために短時間で意志決定しなければならないこと,そして,この集団の意志決定や判断が誤りであった場合,生死を左右しかねないほど,その損失が大きいことなどが,緊急時の集団意志決定の特徴である。 平常時においては,集団は(1)問題を理解し(2)計画立案し(3)その計画を実行し,そして(4)振り返りと評価を行うという過程で集団での意志決定を行い(Polya,1945),あるいは,その決定を修正していくと考えられる。しかし,緊急事態においては,曖昧で新奇性の高い不十分な情報をもとに,短時間で意志決定しなければならない上に,決定のやり直しがきかないことが多い。 また,緊急時の集団意思決定において,集団が取り組む課題は,何が正解かが不明であり,解の自明性が低いのが特徴であろう。解が自明な時は,集団内に課題を解決できる成員がひとりでも存在すれば集団は正解することが可能となる。解が自明でない場合,集団内に課題を解決できる成員が存在するだけでなく,他の成員によりその解が集団の解として支持されることも必要となる。 ここでは解の自明性が低い課題を用い,客観的に優れた成員が集団のリーダーとしてみなされるのかを集団成員の判断の等質性・異質性との関連から検討した。F県の82名が看護系研修の一環として実験に参加し,4名集団18グループで集団問題解決課題に取り組んだ。 分析の結果,成員判断が等質な群では,個人得点とリーダーとしての被選択数の相関は有意ではなく,判断が異質な群では有意に近い相関が認められた。異質群のように自他の判断の相違が顕在化することがより客観的に優秀な成員をリーダーとして選択することに影響する可能性が示唆された。実験結果の一部は日本社会心理学会第53回大会において発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,(1)基礎的な文献収集と過去研究の展望をすると同時に,(2)実験的な検討をすることを目的としてきた。 (1)については,過去の研究に関する展望論文を作成し,現在,学会誌へ投稿中であり,当初の計画以上に進展している。 また,(2)についても,基礎的な実験を行い,この実験結果について,学会でのポスター発表がなされ,順調に進行している。 以上の点から,平成24年度においては,当初の計画以上に研究が進展していると考えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては,さらに過去研究のレビューを続けると同時に,緊急時のリーダーシップと集団による課題解決パフォーマンスについて,実験的な検討を行うことを予定している。 ここでは,大学生を対象とした実験,看護師等の社会人を対象とした実験を予定している。大学生を対象とした実験は,4名集団を30グループ(計120名)程度とし,社会人を対象とした実験は,4名集団を40グループ(計160名)程度とするものを予定している。 また,この実験データを分析し,学会発表や論文の作成につなげられるよう準備することを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料収集のための旅費,実験にともなう謝金やデータ入力等のためのアルバイト代などの支出が予定されている。
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Research Products
(1 results)