2014 Fiscal Year Annual Research Report
社会情動的選択性から見た高齢者のソーシャルネットワークに関する研究
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24530788
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
渡部 諭 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 教授 (40240486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 泰秀 青森大学, 社会学部, 教授 (40226189)
吉村 治正 奈良大学, 社会学部, 准教授 (60326626)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高齢者 / 社会情動的選択性理論 / 未来展望 / パーソナルネットワーク / ERGM |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者が形成するネットワークの規模や形態、それに影響を与える要因についての理論的研究は多くはない。現在の高齢者認知理論の代表的な理論である社会情動的選択性理論によれば、高齢者は短期的な未来展望により情動の安定を求めるためにネットワークの規模は縮小され、比較的疎遠な関係は切れる代わりに身内などとの緊密な関係は維持されると説明される。ところがわが国で社会情動的選択性理論に基づいて行われた高齢者のネットワークに関する研究は、われわれが知る限り見当たらない。そこで本研究では、高齢者のパーソナルネットワークについて、ネットワークを構成・維持する上で影響を与える要因についてexponential random graph models(以下ERGM)を用いた分析を行い、わが国の高齢者のネットワークの特徴が社会情動的選択性理論によってどの程度説明可能であるか考察を加えた。 高齢者に対して、日頃付き合いのある人間に関してそれらの諸属性について調査が行われた。調査対象高齢者は青森市在住の60歳以上の高齢者275名である。調査は2014年3月13日~30日に行われた。したがって、研究最終年度の2014年度は調査データの分析に費やされた。 ERGM分析の結果、調査対象高齢者のパーソナルネットワークの構造に影響を与える主要な要因としてhomophilyが挙げられることが明らかになった。すなわち、年齢・学歴・関係が持続している期間・関係から得らえる満足度・サポートのバランスの類似性によってネットワークが構成・維持されていることが明らかになった。これらの要因のいずれもが一方的でない双方向的な人間関係から得られる要因であり、高齢者の情動的安定に寄与するものであり、社会情動的選択性理論に合致すると思われる。
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Research Products
(2 results)