2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530791
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
王 晋民 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (10302431)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 組織行動 / 不正行為 / 内部告発 / 法令違反 / 実証研究 / 実験系心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は組織における不正行為を効果的に防ぐために不正行為に対する態度の影響要因を確認することを目的とした。不正行為に対する態度を嫌悪感情、非倫理性の知覚、被害判断の諸側面から取り上げ、影響要因として主に組織倫理風土や属人風土、不正原因の事後説明、被害可能性について検証した。当初実施計画の一部を統合した複数の実験調査を行い、多角的な検討を行った。 本研究の主な成果は以下の3つである。 (1)組織風土との関連性に関しては、組織倫理風土のうち、法令順守重視と組織構成員各自倫理判断重視のいずれが不正行為に対する嫌悪感情、非倫理性の知覚、被害判断と正の関連性、組織利益重視が非倫理性の知覚と負の関連性が確認された。また、属人思考の抑制や法令順守制度の整備によって不正行為の放置が減少し,内部告発行動が出やすくなることが示された。 (2)不正行為に関する事後原因説明の効果に関しては、説明なし条件と比較して単純に説明する条件では不正行為に対する評価が変化しないか、より負の評価になる。一方、不正行為のあった組織の評判を維持しようと考慮して原因説明を行う条件では不正行為への負の評価が軽減され、不正行為が比較的に容認されることが確認された。 (3)個人の被害可能性や公正敏感さ、道徳規範意識に関しては、自分や家族・友人が被害者になる可能性のある条件では、その可能性がない条件と比較して企業等の不正行為に対する嫌悪感情と非倫理性の知覚が強くなることが示された。また、公正敏感さと道徳規範意識のいずれも不正行為への嫌悪感情との間に正の関連性が確認された。 本研究の結果から、組織不正の防止にとって組織倫理風土の重要性が実証され、組織構成員の不正行為に対する態度への影響要因が確認できた。今後、組織倫理風土や組織構成員の不正行為に対する厳しい態度の形成と維持の具体的な方策を組織内で実装し、その効果を検証する必要がある。
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