2012 Fiscal Year Research-status Report
ステレオタイプ抑制による逆説的効果を低減するための代替思考に関する研究
Project/Area Number |
24530794
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡 隆 日本大学, 文理学部, 教授 (80203959)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ステレオタイプ / 偏見 / 抑制 / 逆説的効果 / サブタイプ / 認知的複雑性 |
Research Abstract |
ステレオタイプを抑制するさいに代替思考としてサブタイプを利用したり,サブタイプが利用されたりすることが,抑制の逆説的効果(ステレオタイプの抑制後に,かえってステレオタイプのアクセスビリティを高めるという現象,抑制のリバウンド効果ともいう)の低減・解消のために有効にはたらくかどうかを検討し,あわせて,ステレオタイプを抑制するさいにサブタイプが代替思考として利用されやすくなるような社会心理学的要因を同定するために,2つの社会心理学実験を実施した。 実験1では,サブタイプの利用可能性を規定すると予測される,サブタイプの確立度(ないしは明瞭度)を測定し,あわせてステレオタイプ(女性に関するステレオタイプ)の抑制の逆説的効果のサイズを測定した.実験結果は,すべての実験参加者ではないものの,男性実験参加者において,サブタイプの確立度が高いほど,逆説的効果のサイズが小さくなるということを,部分的に確認し,論文として公表した。 つづく実験2では,サブタイプの利用可能性を規定すると予測される個人差変数として,認知的複雑性を測定し,あわせてステレオタイプ(女性に関するステレオタイプ)の抑制の逆説的効果のサイズを測定した.実験結果は,やはり男性参加者に関してのみであるが,認知的複雑性が低い男性では,女性のステレオタイプを抑制したときに逆説的効果が生じやすいが,認知的複雑性が高い男性では,それが生じにくいことを確認した。3月31日現在,投稿準備中である。4月中には雑誌論文に投稿し審査を受ける予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,上記の実験1のみを実施する予定であり,それを実施したが,その結果は,仮説の部分的な支持にとどまった。実験方法を改良した追加実験が必要であり,この点では,「(3)やや遅れている」」という評価になろう。しかし,翌年度に実施する予定であった実験2を本年度中に実施し,仮説を支持する結果を得た。この点では,「(1)当初計画以上に進展している」ことになろう。これらを総合的に評価して,上記の区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に,上記の実験1の方法を改良して,ステレオタイプ抑制の逆説的効果に果たすサブタイプ確立度の役割を明確にする実験を実施する。 第2に,上記の実験2に関しては,当初計画よりも進展しているので,さらに踏み込んだ実験を実施する。具体的には,認知的複雑性が,なぜステレオタイプ抑制の逆説的効果を小さくするのかについて,認知的複雑性が低い人と高い人とで,どのような代替思考が生成されているかを検討することによって明らかにする予定である。 第3に,3年目に実施する予定の集団間関係を変数に組み込んだ実験のパイロット・テストを実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)