2013 Fiscal Year Research-status Report
マインド・コントロール防衛スキルの構造とその心理特性の測定法の開発
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24530797
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
西田 公昭 立正大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10237703)
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Keywords | 欺瞞的説得 / マインド・コントロール / 詐欺 / 悪質商法 / カルト |
Research Abstract |
アクション・リサーチ的手法を用いて、マインドコントロール影響に対する脆弱性・防衛スキル尺度の項目作成をおこなってきた。これは現場と研究室とを交差的に用いながら仮説を練り上げていく手法である。具体的には、カルト被害者他への面接調査(中学生、大学生、一般女性の被害者、マスコミ取材者)、詐欺被害者他への面接調査(一般女性、弁護士)などをベースにしながら、尺度の項目を選択した。その結果、日常生活における習慣的な行動スタイルとして、過去の経験から得たリスク認知の低さ(過去にだまされた経験の認知がないことから、今後も被害にはあわないと思い込む楽観主義や過去に被害があってもそれが希少な否定的事実として受け止めて今後に備えようとしない楽観主義など)、先入観によるトップダウン情報処理の強さ(相手を印象で判断していたり、権威ある地位や役職で判断していたりする)、感情的な操作を受けていること(恐怖、切迫感、見栄、責任感、罪悪感など)、ソーシャルサポートの利用スタイル(相談相手がいたり、援助してくれようとしていても自己判断を過大評価してしまう傾向がある)などが重要なポイントとして検討するべきであることが示唆された。また信頼動機を示すには、個人的なリアリティ(奇跡的な事柄や知られていないことを知っているということを目撃した)と社会的リアリティ(周囲の人々の多くが同様の経験をしているということ、著名な人や団体が高く評価しているということ)およびユーティリティ(信じた方が不安や恐怖を軽減し、幸福につながっていること)の心理的機能が働いていることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
面接調査の対象者を得ることに困難があったため、進捗が遅れた。それをカバーするために、詐欺の被害者への質問紙調査を実施して、実態を把握するのみならず、一歩進めて仮説を検討する方針で進めている。この調査には、日本弁護士連合会の消費者部会メンバーの協力を得るに至り、全国的に郵送法によるデータ収集を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在実施している詐欺被害者からのデータ収集のあと、統計解析を行う。また大学生やその家族などをサンプルにした被害経験のない者の調査を計画して比較検討する方策である。その後、統計的な比較から総合的なまとめを行い、マインド・コントロール影響に対する脆弱性や防衛スキルの尺度を完成させる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
被害はないがマインド・コントロール経験をした者やまったく未経験の大学生やその家族などをサンプルにした調査を計画して比較検討する予定を追加したため、今年度の経費使用を圧縮した。 質問票の印刷費やその配布ないし回収の費用としたい。
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Research Products
(3 results)