2013 Fiscal Year Research-status Report
活用価値を高める人事評価の条件―学習とパフォーマンスにつなげる評価―
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24530804
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
柳澤 さおり 中村学園大学, 流通科学部, 准教授 (00341397)
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Keywords | 人事評価面談 |
Research Abstract |
平成26年度は、企業組織のメンバーに対するインタビューの内容を基に、人事評価の面談を通した評価対象者の学習や成長と関わる具体的な認知の変化について検討した。その結果、評価対象者が自らの学習や成長を促したと考える面談では、(a) 面談対象者の現状のレベルと理想とする状態について話し合うことに基づく「現実と理想のギャップの認識」、(b) 評価期間の自分の経験を振り返ると同時に新たな課題も見つける「経験の振り返りと新たな課題の発見」、(c) 評価対象者の今後のキャリアについての話がなされることによる「キャリアの展望の獲得」、(d) 上司からの新しい仕事への挑戦の提案や職場運営に関する相談などから派生する「仕事の視野と幅の拡張」の4つの認知的変化が生じる可能性が示唆された。人事評価面談では、評価結果やその理由について話し合いを行い、パフォーマンスに関する的確なフィードバックを与えることが重要である。これに加え、仕事に関わるものの評価とは直接的な関わりを持たない事柄を話し合うことの重要性も調査結果から示唆された。上記(c)や(d)は、そういった評価と直接関わりのない事柄に関する対話から生じた認知的変化であった。日常業務場面から離れた空間で、上司と部下との一対一の対面で行われる人事評価面談は、日常業務場面よりもそこで話す内容が評価対象者に大きな影響を及ぼすことがあると思われた。また経験の振り返り、新たな知識やスキルの獲得、課題の発見、仕事の視野の拡張などを自律的にできない部下にとっては、上司とともにそれらができる人事評価面談は今後の学習や成長に必要不可欠なものと考えられた。ただし、人事評価面談が、個人の成長につながり実りあるものになるかどうかは、上司だけでなく部下の関わり方も関与していることが示唆された。 上記の研究結果を基に、人事評価の活用尺度の作成に着手したが、実験室実験は行うことができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度の7月まで育児休暇をとっており、研究を中断していたため、研究の進展に遅れがでている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大学生を対象にしたフィードバック情報の活用がその後の学習活動やパフォーマンスに及ぼす影響について調べる実験室実験を行い、また組織メンバーを対象に人事評価の活用に関する調査を実施することを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度1月から平成25年度まで産前産後休業、および育児休暇を取得したため、研究計画通りに進まず、次年度使用額が生じた。 育児休暇の取得のために研究を中断したことで生じた助成金の残金は、研究再開後の研究の推進に必要なコンピュータ、プリンターの購入、図書の購入、国内・国際学会の参加に使用することを予定している。
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