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2012 Fiscal Year Research-status Report

情報提供場面における相互不信からの信頼回復プロセスの検討

Research Project

Project/Area Number 24530805
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionCentral Research Institute of Electric Power Industry

Principal Investigator

小杉 素子  一般財団法人電力中央研究所, 社会経済研究所, 主任研究員 (20371221)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords情報の非対称 / 情報提供 / 信頼 / 相互不信
Research Abstract

H24年度研究の目的は,情報の非対称性を伴う情報提供場面において,受け手の反応の予測に基づいた情報提供行動に対する,実際の受け手の反応と,それを手がかりとして修正される提供者の予測と信頼の連動を明らかにすることである。
実験では,参加者は二人一組のペアになり,情報提供者か受け手の役割を割り振られ,各自PC端末を通じて仮想的な情報提供場面で相互作用を繰り返した。リスクを伴う事象をペアで受容するか拒否するかについて,提供者のみがリスク情報を有し,受け手に情報提供する。受け手はその情報に基づき意志決定を行う(1試行)。試行を繰り返す過程で2回リスクが顕在化し,提供者が虚偽報告をしているかどうかが明らかになるイベントが生じる。実験条件として,意志決定の前に受け手が事象の正確なリスク情報を有料で調べることができるサーチオプションの有無による2群を設定した。
実験の結果サーチなし条件では,リスクが顕在化し虚偽報告が発覚すると,受け手は一時的に提供者への信頼を低下させ事象の受容に慎重になり,提供者は受け手に受容してもらうために虚偽報告を維持しなければならないという虚偽報告と不信の循環の存在が示唆された。また,提供者の受け手への信頼は受け手の慎重さと連動するため,不信の循環の中では受け手への信頼も低下する。
サーチあり条件では,虚偽報告をしない提供者とサーチを行使しない受け手という,信頼も利得も相対的に高い状態を維持するペアの存在が示唆された。サーチ回数が多いペアでは提供者の受け手に対する信頼が低下していくことから,サーチ行使が提供者への不信のシグナルとして機能する一方で,サーチを行使しないことは提供者への信頼のシグナルとは提供者に認識されないことが示された。つまり,提供者の受け手に対する信頼は受け手の反応と連動して低下方向には動くが,向上の方向には動きにくいことが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

H24年度は,情報の非対称性が存在する二者間の信頼形成プロセスにおける,受け手の反応予測に基づいた情報提供行動と,受け手の反応,それを手がかりとして修正される提供者の受け手の反応予測と信頼の連動を明らかにすることを計画していた。そこで,情報提供場面における提供者の虚偽報告と受け手のリスク回避的反応(不信)の循環構造を示した実験枠組み(小杉, 2012)に,情報提供者に認知しやすい受け手の反応として,上記『研究実績』で述べた受け手のサーチオプションを設定し,受け手の反応と提供者の予測の修正,および信頼との関連を調べる実験を実施した。
また,実験の速報的な結果は,2012年11月の日本社会心理学会で報告し,現在投稿論文を作成中である。
以上の実施状況から,おおむね計画通り順調と判断している。

Strategy for Future Research Activity

H24年度実施の実験と同様に,実験室において二者間に情報の非対称性を設定して相互作用を繰り返す場面を構築し,実験参加者にはそれぞれの役割のルールに基づいて行動してもらう。この実験では,情報提供場面を拡張して特定の役割を持った第三者の役割を導入する。第三者の存在により,二者関係では安定して維持される相互不信がどのような影響を受けるか(第三者の存在そのものの効果),相互不信の安定状態を脱する要因としての第三者の役割はどのようなものかを検討する。
相互不信の安定状態を脱するための第三者の役割として,1)情報提供者と受け手の間の情報の非対称性を縮小する機能(現実社会では,たとえばマスメディアのような立場),2)情報の非対称には直接関与しないが,情報提供者と受け手の利得関数が同一であることを保証する機能(たとえば規制当局,行政などの立場),3)情報劣位者である受け手の勢力を補強したり,提供者に明確なシグナルを送る補助をするなどの機能(NPOのような立場)などさまざまな機能と形態が考えられる。そこで,数回プレテストを行い仮説を絞り込み,第三者の役割を実験条件として設定し,条件間の比較を行うことにより,相互不信の安定状態から脱出する第三者の役割と効果を明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

プレテスト用プログラム作成人件費 2人×10千円×30日 600千円
プレテスト参加者謝礼 1人×3千円 1人×3千円×90人 270千円
実験者,実験補助人件費 2人×8千円×8日 128千円
実験用PCレンタル,会場費等 248千円
国内出張旅費(学会1回,研究打ち合わせ3回) 50千円×4回  200千円

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 情報提供場面における信頼形成過程の分析2012

    • Author(s)
      小杉素子
    • Organizer
      日本社会心理学会第53回大会
    • Place of Presentation
      つくば国際会議場(茨城県)
    • Year and Date
      20121117-20121117
  • [Presentation] Why do information providers try to conceal risky information?2012

    • Author(s)
      Motoko Kosugi
    • Organizer
      Society of Risk Analysis Europe, 2012 Annual Conference
    • Place of Presentation
      チューリッヒ工科大学(スイス)
    • Year and Date
      20120618-20120618

URL: 

Published: 2014-07-24  

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