2013 Fiscal Year Research-status Report
教員を目指す大学生の学習支援を目的としたメタ認知能力の育成
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24530806
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
懸田 孝一 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70281764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅村 亮彦 北海学園大学, 経営学部, 教授 (70301968)
吉野 巌 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60312328)
宮崎 拓弥 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00372277)
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Keywords | メタ認知 / メタ認知尺度 / 批判的思考 |
Research Abstract |
今年度は、研究課題である「メタ認知支援に利用する効果的な課題の特定」のために、主に次の3つの研究を行った。 研究1:ゼミナール活動を通してメタ認知的活動としての批判的思考は促進されるか:大学のゼミナール活動において典型的な課題を行うことによって大学生の批判的思考が促進されるかを検討した。具体的な課題は、大学生が研究を行うために必要な知識や技能について解説された文献を講読し予め文献を読み疑問点をあげる、講読した内容をレジュメにまとめ発表することであった。批判的思考力の指標は、批判的思考テスト及び省略三段論法の成績とした。その結果、本研究で課した大学のゼミナール活動で一般的に行われている活動だけでは批判的思考力の促進は認められなかった。問題点として、学生をメタ認知的活動や批判的思考に焦点化させることが十分にできなかったことが考えられた。 研究2:メタ認知尺度の再検討:開発したメタ認知尺度は、その妥当性が一定程度確認されてきたが、不十分な点も認められる。そこで、メタ認知尺度の信頼性と妥当性をより高めるために、メタ認知尺度の再検討を行った。その結果、メタ認知尺度の再構成や他の尺度(楽観性尺度)などを検討する必要が考えられた。 研究3:説明文作成課題におけるメタ認知の働き:これまで説明文課題(コピー機の使用方法の説明)遂行にはメタ認知が関与することが示されてきた。そこで、説明文作成課題がメタ認知支援に利用する効果的な課題となりうるかを検討した。具体的には、道順を説明する課題を実施する際に、手順の正確さ、説明の構造化、わかりやすさの工夫(視覚化と読み手への配慮を含む)を指標としてメタ認知能力との関連を検討した。また、メタ認知尺度の妥当性を高めるために、自己評価式質問紙の回答に影響する尺度(楽観主義尺度)との関連を検討した。なお、実験は実施済みであるが、現在、データを分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題である「メタ認知支援に利用する効果的な課題の特定」は、主に研究1と研究3で検討した。研究1で使用した課題はメタ認知的活動としての批判的思考力を促進させる効果を認めることとはならなかったが、研究3で使用した課題は、先行研究の成果も踏まえると、メタ認知活動を伴いやすいことが推測される。 以上の成果を考慮すると、今年度の研究課題である「メタ認知支援に利用する効果的な課題の特定」は、課題の方向性は確認できたと考えるが、特定にはいたらかなった。したがって、(3)やや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の研究目的は、「特定した課題を利用した支援手法を開発し、その効果を検証する」である。この目的については平成26年度及び平成27年度の研究実施計画にしたがって検討する予定である。具体的には、教員に求められる資質と関連する学習活動に対してメタ認知育成が与える効果を検証する。メタ認知を育成するため、メタ認知的活動の頻度を高める課題を遂行させ、それが実際の授業での学習活動に活用できるよう促した上で、課題遂行及び指導の実施前に比べて実施後に、教員を目指す大学生に求められる資質能力の学習効果が高まるかどうかを検証する実験を行なう。ただ、平成25年度の研究課題である「メタ認知能力支援に利用する効果的な課題の特定」がやや遅れている現状を鑑みると、この課題にも早急に対応する必要があると考えている。 以上、研究実施計画の小さな変更は一部あるものの、平成26年度以降も概ね、当初設定した研究目的および研究実施計画にしたがって研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額として、627,828円があるが、これは、平成25年度の研究遂行において、購入を予定していた物品(ノートPC、液晶プロジェクター、統計パッケージなど)、データ処理に係る人件費、旅費が当初の予定よりも少額となったことが主な理由である。 平成26年度は当初の計画で研究費の使用を考えている。当初の使用計画に加えて、統計パッケージの購入や人件費での増額が考えられる。この理由としては、平成26年度の実験等で得られたデータはより大量となることが予想されていることが挙げられる。そのため、分析は共同研究者が分担して行う必要があり、さらに統計パッケージを購入する必要が予想されていること、より大量のデータ処理のための人件費が必要となることが予想されていることがある。このように当初想定していた以外の物品の購入なども併せて考えた使用計画とする。
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Research Products
(2 results)