2013 Fiscal Year Research-status Report
発達障害幼児のための神経心理学的検査及び支援プログラムの効果の検討
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24530809
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
小林 久男 高崎健康福祉大学, 人間発達学部, 教授 (50004122)
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Keywords | 神経心理学 / 注意 / 同時処理 / 継次処理 / プランニング / 発達障害幼児 |
Research Abstract |
研究は、発達障害幼児を対象とした神経心理学的検査を作成し、その有効性を検討することが主な目的である。神経心理学的検査は、①注意、②同時処理、③継次処理、④プランニングの4種類の検査で、文献や既成の発達検査、幼児の行動観察などを参考に検査項目を作成し、健常幼児および発達障害が疑われる幼児を対象に検討する。平成25年度においては、以下の4点について検討した。①視覚性持続的注意検査について、ADHDと診断された4歳~6歳児17名を対象にパソコンソフト『もぐらーず』による注意検査を行い、健常幼児(4歳~6歳)と比較検討した。その結果、ADHDは健常幼児に比べて成績の有意な低下が認められたが、年齢が上がるにつれて成績も上昇した。②同時処理検査としてKABC-IIの中の「模様の構成」および言語の理解と操作を必要とする「トークン検査」を、3歳~5歳の健常幼児24名に実施し、発達的検討を行った。その結果、3歳児では成績の個人差がきわめて大きく、成績の良いものと悪いものの差が大きかった。4歳児と5歳児では成績の個人差は小さくなり、年齢が高くなるにつれて成績も上昇した。③継次処理検査の「数唱」を3歳~5歳の健常幼児24名に実施し、発達的検討を行った。その結果、3歳児では成績の個人差が大きかったが、4歳児と5歳児では個人差も小さくなり、年齢が高くなるにつれて成績の上昇が認められた。④幼児期の行動チェックリストの試案を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度においては、①注意、②同時処理、③継次処理、④プランニングの4種類の検査の完成とそれらの健常幼児での検討が主な目的であった。これらのうち、ほぼ達成できたのは①と②であり、③については、検査項目の作成はほぼ終了しているが、それらを健常幼児に実施し、各検査の発達的変化を検討するという課題が未達成の状況にある。この原因は、③の検査項目の作成にかなりの時間がかかったためである。本研究のような、幼児を対象とした包括的な神経心理学的検査は内外を通じて類似のものはなく、一つひとつの検査項目が幼児において妥当かどうかを慎重に検討する必要がある。このため、既成の知能検査や発達検査の検査項目、さらには幼児の行動観察を参考にしながら、本検査の下位検査項目を検討したが、まだ十分であるとは言い難く、さらに精査が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
①注意、②同時処理、③継次処理、④プランニングの4種類の検査の各下位検査項目について、それらが幼児において妥当かどうかをさらに慎重に検討する必要がある。そのためには、引き続き、健常幼児の行動発達の様子を撮影したビデオの分析と、注意欠陥多動性障害や自閉症、学習障害と診断された学童の保護者の協力を得て、幼児期の行動の様子を撮影したビデオの分析を行い、両者の幼児期における行動の差異を明らかにし、そこから検査項目を検討していく必要がある。そのためのビデオカメラ、レコーダー、パソコンなどの機器の他に研究協力謝金が必要である。また、①注意、②同時処理・継次処理、③プランニングの3種類の検査を健常幼児と発達障害幼児に対して行う上で検査の実施とデータ処理のための協力者が必要であり、そのための謝金が必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、発達障害幼児を対象とした神経心理学的検査を作成し、その有効性を検討することが主な目的である。神経心理学的検査は、①注意、②同時処理、③継次処理、④プランニングの4種類の検査で、文献や既成の発達検査、幼児の行動観察などを参考に検査項目を作成し、健常幼児および発達障害が疑われる幼児を対象に検討する。それぞれの下位検査項目は多数にのぼり、対象児も3歳~6歳児各年齢20名程度を予定している。これらの下位検査の実施とデータの処理には多数の研究協力者が必要であり、そのために多額の謝金が必要である。次年度使用額が生じた理由は、さらに多くの研究協力者が必要であり、このための予算として確保しておく必要があること、また、本研究の成果を内外の学会や研究会で発表する予定であり、そのための予算として確保しておく必要があるためである。 次年度においては、①健常幼児および注意欠陥多動性障害や自閉症、学習障害と診断された学童の幼児期の行動発達の様子のビデオ分析とその処理に必要なビデオカメラ、DVDレコーダー、パソコンなどの機器の購入と研究協力謝金、②本研究の検査項目の作成のための教材・教具の購入、③注意、同時処理・継次処理、プランニングの4種類の検査を健常幼児と発達障害幼児に実施するとともにそれらのデータ処理ための実験協力謝金、および④関連する学会や研究会において研究成果の発表を行うための旅費が必要である。
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