2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530810
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中島 伸子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40293188)
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Keywords | 認知発達 / 概念発達 / 素朴生物学 / 心身相互性理解 / 老化概念 / 心身の理解 / 因果理解 |
Research Abstract |
これまでの研究では、子どもは身体、心理の各領域内の影響関係についてはかなり早くから理解が進んでいる一方で、心身相関的現象の理解は比較的遅く、児童期中期以降に進むことが指摘されていた。本研究は、心身相関的な現象の一つである老化現象を取り上げることで、心身相関についての理解の発達の様相をより詳しく検討することを目的とする。対象者は小3(28名)、小6(36名)、大学生(115名)であった。老化の進行を緩和するとされる身体要因(バランスの良い食事・適度な運動)、心理要因(ストレスのない生活・社会参加)、外部要因(化粧品や塗り薬の使用)をとりあげ、これらが複数の心的特性(記憶力・計算力・開放性)・身体特性(しわ量・心臓機能・腕力・走行速度・聴力)の老化に対してどれだけ緩和効果をもつかを数値で評定させた。調査はすべて質問紙にて集団で実施した。それにより、6つの影響関係(「身体⇒身体」「身体⇒心理」「心理⇒身体」「心理⇒心理」「外部⇒身体」「外部⇒心理」)の相対的強度についての評定値を算出した。 その結果、「心理⇒身体」「心理⇒心理」の影響関係の理解については、小3以降に発達的変化がみられることが示された。小3の子どもは小6の子どもや大人と比較すると「心理⇒身体」「心理⇒心理」の影響関係の強度を低く見積もる傾向がみられた。それ以外の影響関係においては、年齢差がみられず、小3までには大人とあまり相違がないレベルに到達すことが示唆された。これらのことから、老化過程に及ぼす「心」の影響の理解は「身体」や「外部」の影響の理解より遅くなること、「身体⇒心理」の方が「心理⇒身体」の理解よりも早く大人のレベルに達するといえる。さらに。「身体⇒心理」「心理⇒身体」「心理⇒心理」の因果理解においては、性差がみられ、男子より女子の方が影響関係の強度を高く見積もることも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の研究実施計画の通りに進行しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の調査を踏まえ、当初の予定通りの研究を実施する。具体的には、老化における心身の相互性理解についての幼児の理解を調べることで、理解の発達過程をより詳細に検討する。あわせて、心身の相互性理解に及ぼす文化的背景の影響を検討するために、他国と日本の大学生を対象とした比較文化的研究も実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定よりも、謝金、情報交換や学会発表のための出張費の増加が見込まれるため。 調査用紙の中国語翻訳のための謝金として2万円の増額。国内学会の参加出張費として3万5548円の増額。
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Research Products
(2 results)