2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530815
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝上 慎一 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 教授 (00283656)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自己形成 / アイデンティティ形成 / 時間的展望 / 青年期 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究実績の概要】 ※当該年度に実施した研究の成果について、その具体的内容、意義、重要性等を、交付申請書に記載した「研究の目的」、「研究実施計画」に照らし、600字~800字で、できるだけ分かりやすく入力してください。
本研究は、「自己形成(self formation)」を青年期以降に特徴的な、自己を主体的・個性的に形作る行為と定義し、ひとの誕生以来の「自己発達(self development)」の一部ではあっても、異なる機能を持つものであることを実証的に検証しようとしたものである。理論的な検討を経て、自己発達を「アイデンティティ形成(発達)」と読み替え、H25年度の研究をやりなおし、以下の成果を得た。 予備調査(大学生44名:男性33名、女性11名、平均年齢20.93歳)、本調査(大学生447名:男性215名、女性231名、平均年齢19.93歳)を実施した(H25.1月に実施)。研究の手続き、知見は次の通りである。個別的水準の自己形成活動が、抽象的・一般的水準にある時間的展望を媒介して、アイデンティティ形成に影響を及ぼすという仮説モデルを検討した。予備調査を経て作成された自己形成活動尺度は、本調査における因子分析の結果、4つの因子(興味関心の拡がり・関係性の拡がり・将来の目標達成・将来への焦り)に分かれることが明らかとなった。これらの自己形成活動を用いて仮説モデルを検討したところ、個別的水準にある自己形成活動は直接アイデンティティ形成に影響を及ぼすのではなく、抽象的・一般的水準にある時間的展望を媒介して、アイデンティティ形成に影響を及ぼしていた。総じて仮説モデルは検証されたと考えられた。 現在、この研究は学会誌に投稿し修正採択中である。また、自己形成尺度の日本語版は国際的な汎用性が低いので、海外向けの測定も開発し、ほぼ同様の結果を得て、現在国際学術誌へ投稿中である。
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