2012 Fiscal Year Research-status Report
児童,教師の被援助志向性に焦点をあてた学校コンサルテーションプログラムの開発
Project/Area Number |
24530817
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
水野 治久 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80282937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 被援助志向性 / 学級適応 |
Research Abstract |
平成24年度の研究目的は,友人に対する被援助志向性尺度を開発することであった。関西地区の7つの小学校4年生~6年生,516名を対象に調査を実施した。欠損値のない475名を対象に分析した。友人に対する被援助志向性尺度は因子分析したところ,「友だちは,悩みを話したら,わたし(ぼく)の気持ちをわかってくれる」,「わたし(ぼく)の友だちは,相談したことを真剣に聞いてくれる」,「友だちに相談しても,友だちは,相談したことを解決できない(逆転項目)」など7項目,1因子が抽出された。アルファ係数は.826であった。多くの項目で天井効果が確認され課題の多い項目となった。なお,妥当性を確認するために河村(2006)が開発した「楽しい学校生活を送るためのアンケート(Q-U)」との関連を検討したところ,Q-Uの承認得点との相関係数は.714,被侵害得点との相関係数は-.452,スクールモラール尺度の友人得点との相関係数は.544,学習得点とは.408,学級得点とは.594であった。友人に対する被援助志向性は,承認得点との相関が高く,友人に援助を求める傾向にある子どもは学級における承認得点が高かった。友人に対する被援助志向性について,男女で検討したところ,男子より女子の被援助志向性が高かった。また学年による違いは認められなかった。更に,Q-Uの承認得点,被侵害得点を従属変数,友人に対する被援助志向性尺度,Q-Uのスクールモラール尺度の下位尺度得点(友人,学習,学級),ソーシャルスキル尺度の下位尺度得点(配慮スキル,かかわりスキル)を独立変数にして重回帰分析を実施したところ,友人に対する被援助志向性得点は,それぞれ.252, -.323のベータ値であった。Q-Uのスクールモラール,ソーシャルスキル得点のどの変数より規定力が高く,友人に対する被援助志向性が学級の適応を規定している可能性がうかがえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
友人に対する被援助志向性尺度は天井効果が確認されるなどの課題は認められるが,Q-Uの承認得点,被侵害得点(いじめの程度)を予測することが明らかになった。標準化されているQ-Uの下位尺度よりも今回作成した友人に対する被援助志向性の規定力が高いことが分かり,友人に相談しやすい学級を作ることが,学級適応に繋がる可能性が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の調査で,友人に対する被援助志向性尺度が学級での適応に影響している可能性がうかがえた。しかしながら,友人に対する被援助志向性尺度は天井効果が確認されるなど,課題も見受けられた。研究計画調書では,今年度は,児童の教師に対する被援助志向性尺度の開発を行うこと,更に,担任と協働でQ-Uや被援助志向性尺度の結果を踏まえた援助プログラムを考えることである。これは各学校の学校長,担任の意向にも影響される。そこで,平成25年度は以下の方針で研究を進めたい。 まず,1)友人に対する被援助志向性尺度を再度作成する。これは,今年度,研究としては課題を残す結果となった。天井効果に注意しながらどのような尺度項目が良いのか再度検討したい。更に,2)学校と相談して教師に対する被援助志向性尺度を作成したい。ただし,子どもが教師にどのように相談したいかということは学校の協力が得られない可能性があるので,調査対象校とよく相談して決めたい。次に,3)効果的なコンサルテーションプログラムの開発であるが,担任と協働で,学級に介入したい。介入できる学級は限られるので,まずは,3学級程度を目処に援助プログラムを作成したい。これも,調査フィールドの開拓に時間を要するので,介入は秋に行いたい。研究発表との場として,今年度は,9月に行われる欧州発達心理学会(スイス),日本学校心理学会大会(三重)にて研究成果を報告し国内外の研究者,実践家のフィードバックを得たい。このような実践を通して,どのようなコンサルテーションが効果的なのかについて,探っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず,1)児童の友人に対する被援助志向性尺度を再度検討すること,2)児童の教師に対する被援助志向性尺度を検討の可能性を探るためにHyper Q-U(図書文化社)を購入し,それに質問紙を追加する。大阪府内A小学校をフィールドにすると,420円×38名×4学級で58,800円が必要となる。また,3)学級に対するコンサルテーションの実践については,大阪府内B小学校をも対象にできるなら,420円×38名×3学級で47,780円が必要である。次に,4)9月に実施される欧州発達心理学学会への旅費などで30万円の予算が必要である。そして調査雑費に5万円の予算を見込んでいる。更に,5)研究に必要な文献購入費に43,420円が必要である。
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Research Products
(3 results)