2014 Fiscal Year Research-status Report
児童,教師の被援助志向性に焦点をあてた学校コンサルテーションプログラムの開発
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24530817
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
水野 治久 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80282937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 被援助志向性 / 職場雰囲気 / チーム連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は教師の被援助志向性について検討した。A教育委員会の協力のもと,A市に勤務する401名の小学校教師を対象とした。配布した401名のうち397名(男性113名,女性284名)から回答が寄せられた。調査は学校ごとに実施された。調査は無記名で行われ,回答後は封筒に入れ回収された。調査実施手順,分析手順は大阪教育大学倫理委員会の承認(59番)を受けた。測定尺度は,職場風土認知尺度(淵上,2006),生徒の関わりにくさ尺度(谷口,2007),教師の被援助志向性尺度(田村・石隈,2001),教師用バーンアウト尺度(Maslach & Jackson.1981:久保・田尾,1994;田村・石隈,2001)であった。チーム連携については,「援助ニーズの高い子どもは,教員同士のチームで子どもを支えている」「特別支援の対象の子どもについては関係教員と十分に意見交換しながら対応している」など4項目を尋ねた。結果は,共分散構造分析で検討された。共分散構造分析の結果,教師の被援助志向性のうち「懸念・抵抗感」の高さはバーンアウトを抑制したが,逆に「援助の肯定的側面」はバーンアウトを促進することが明らかになった。これは先行研究を否定する研究知見である。チーム連携を予測するのは,協働的な職場雰囲気である。教師の「児童の指導,理解に対する困難度」の認知は,チーム連携に関係が認められなかった。このことから,教師の連携を促進する要因は協働的な職場雰囲気ある可能性が高くなった。教師の被援助志向性は,連携を予測しないが,協働的職場雰囲気を介すると,チーム・連携を高めることが明らかになった。今後,どのように教師の援助に対する抵抗を抑え,協働的職場雰囲気を高めるかについて明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教師の被援助志向性が必ずしも直接的に連携を促進しない可能性があることが分かった。職場雰囲気が大切であることも明らかになった。ある市のほぼ,全員の教師のデータが取れたことは非常に大きいと感じる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はいじめの予防には被援助志向性が関連があることが明らかになった。平成26年度は,教師の被援助志向性を検討したが,学校内の連携を促進するためには,職場雰囲気がより直接的に影響があることが示された。また被援助志向性はバーンアウトを予防する側面と,バーンアウトを促進させる側面があることが明らかになった。それは学校におけるチーム援助のあり方にも関係してくる可能性が示された。今後は,実際にコンサル-テーションを実施しながら,学級により深く介入することで,援助のための指針を得たい。
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Causes of Carryover |
前年度,調査の分析費用を考えていたが,研究代表者が集計したためにその費用は必要なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今回,学校における職場雰囲気が大事であることが調査の結果,分かった。ちょうど,2016年2月にじ実施される全米学校心理士会のテーマが「学校雰囲気」であるので,情報収集をかねて渡米したい。その費用に充当したい。
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Research Products
(3 results)