2015 Fiscal Year Annual Research Report
教育相談定着化に向けた担当者の影響方略と校長のリーダーシップに関する心理学的研究
Project/Area Number |
24530827
|
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
西山 久子 福岡教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80461250)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 雅史 就実短期大学, 幼児教育学科, 講師 (10610040)
迫田 裕子 東亜大学, 人間科学部, 講師 (90714767)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 教育相談システム / 校長のリーダーシップ / ミドル・リーダーシップ / 定着化 / 教育相談担当者 / 影響方略 / 社会的アイデンティティ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの学校適応の促進には,教育相談を人的資源に依存せず,経年的に安定して実践する必要がある。本研究では、小中学校で教育相談を定着させるため,教育相談担当者がとる影響方略と校長のリーダーシップの関係を教育心理学的に明らかにすることを試みた。 【観点1】校長の教育相談に対する認識とリーダーシップに関する調査では,校長の「教育相談に対する認識と担当者との関わり」についての聞き取り調査と,担当者の「日誌法に基づく管理職との折衝経験で用いられた影響方略」を検討し,先行研究をふまえた質問紙案を作成し,予備調査に基づき,必要な項目や表現の修正を行った。 【観点2】校長のリーダーシップへの教育相談担当者からの情報発信の内容と方略(影響方略)と両者の関連性の検討のため,観点1の質問紙調査を福岡県内の全小中学校の校長と教育相談等の担当者に対して行った。その結果,主に影響方略が使用される文脈では,義務的規範に訴えるなど強制的なHardと,関係性を保つ迎合的なSoft,及び筋道を通す説得や論理性によるRationalの3因子構造から捉えることの妥当性が確認された。加えて多くの校長と担当者の関係で使用される方略から,Hardの使用はごく少なく,SoftとRationalの使用に限定され,両者の併用が聴取された,日誌法による事例検討の結果とも合致した。 【観点3】校長及び教育相談担当者の関わりの相互関連性を示す理論モデルの構築の開発・提案では,観点1・2で得られた成果等をふまえ,担当者からは関係性と合理性に配慮した説得を行うこと,校長からは教育相談に対する理解と担当者の力量の正確な把握に基づく判断の重要性が示され,両者への研修の示唆とした。さらに,校長及び担当者の教育相談の推進に向けた研修の枠組を構成し,学校教育に詳しい実践研究者・実務家からの評価を受けた。研修の実践的活用の成果検討が今後の課題とされた。
|