2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530828
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 知靖 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (30251614)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 表情認知 / 項目反応理論 / 情動 / 心理測定 / 教育心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンピュータを利用した表情認知検査を開発し,従来の冊子体の能力値との関連を調べた。コンピュータを利用した表情認知検査は,冊子体と同じ表情刺激を1つずつ呈示し,該当すると判断される表情の選択肢ボタンを実験参加者が押すものである。回答後,刺激の残像が影響しないように,次の刺激が呈示されるまで1秒の白い空白画像が呈示された。実験参加者として大学生14名に対して,冊子体表情認知検査,コンピュータを利用した表情認知検査,コンピュータを利用した表情認知検査に対する使用感アンケートを実施した。コンピュータ版と冊子版の実施順序は参加者毎にランダムにした。その結果,冊子体とコンピュータ版で算出された表情認知能力の相関係数は,r(12)=.53, p=.052で有意な相関は得られなかった。実験参加者数の影響もあるが,冊子体とコンピュータ版で表情刺激の見え方が異なり,能力値が冊子体とコンピュータ版で一致しなかった可能性がある。また,使用感アンケートの結果から,コンピュータ版の方が冊子版よりも,刺激が見やすく,回答操作が簡単で,回答に要する時間もかからず,回答の際に前後の刺激の影響を受けにくいことが分かった。 次に,表情認知検査に関して大人の表情を利用した成人版と子どもの表情を利用した子ども版との間の関係を調べた。大学生106名(男性37名,女性68名,不明1名)に対して冊子体の子ども版ならびに成人版表情認知検査を実施した。その結果,両版から得られた能力値の相関係数は,男性r(35)=.443, p<.05,女性r(66)=.547, p<.05であった。このことから,両版で測定された能力値は互いに関連性はあると言えるが,異なる能力を測定している可能性もあり,今後詳細な検討が必要である。
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