2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530833
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Research Institution | Kawamura Gakuen Woman's University |
Principal Investigator |
蓮見 元子 川村学園女子大学, 教育学部, 教授 (60156304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 靖子 川村学園女子大学, 文学部, 教授 (60221917)
川嶋 健太郎 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80360204)
佐藤 哲康 川村学園女子大学, 文学部, 助教 (60637867)
浅井 義弘 川村学園女子大学, 教育学部, 教授 (20059801)
生駒 忍 川村学園女子大学, 文学部, その他 (10701724)
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Keywords | 放課後生活 / 低学年児童 / 高学年児童 / 児童の保護者 / 中学生 / 大学生 / 放課後子ども教室 |
Research Abstract |
本研究の当初目標(1.タッチパネル式アンケート装置作成,2.放課後生活空間評価尺度作成,3.放課後実態把握,4.育ち効果のエビデンス収集)のうち,初年度では主に4を行ったが,本年度(25年度)はそれ以外のものを中心に行った。 1.については,本年度は放課後生活空間アンケートアプリケーションをタブレット端末だけではなくスマートフォンでも利用できるように開発を行った。タブレット端末は画面が大きいため年少の児童本人でもアンケートに回答可能という長所があるが,所有している家庭が少なく,調査が困難であった。スマートフォンでのアンケートアプリケーションは画面が小さく,児童本人による回答は困難であるため,保護者と児童が共同して回答を行うものに修正した。 2.については,放課後生活空間評価尺度に焦点化して,尺度の全体像を構築し,尺度完成に向けた本調査を実施した。また,前年度に実施した放課後子ども教室を利用する保護者のインタビューを整理し,放課後生活空間尺度の有用性を向上するために現状と問題点を再検討した。また,それらの研究結果を自治体(行政)が開催する放課後子ども教室の委員会で報告すると共に妥当性を確認するために結果を評価してもらった(北原・蓮見・川嶋・佐藤・生駒,2013)。 3.については,上記の尺度の質問項目を使って,小学生,中学生,大学生の放課後生活の実態把握を行った。4.については,放課後子ども調査の3年間縦断データについての集計,分析を進めた。 その結果,学童期対象の保護者用,低学年児童用,高学年児童用の3種と中学生対象の中学生用,大学生対象の大学生用の放課後生活空間評価尺度案が作成され,大規模調査を行った。それらを集計し,因子分析などにより質問項目を精査し,尺度の妥当性,信頼性についての統計的検討を行い,各尺度の完成を目指す運びとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.について: スマートフォン用のアプリケーションでは保護者向けの機能もさらに追加する予定であり,完成には至っていない。最終年である平成26年度は数組の母子にモニターになってもらい,アプリケーションの使用感や改善意見を得て,アプリケーションを完成する予定である。 2.3.4について: 放課後生活空間評価尺度については,相互の全体構想が築かれた。すなわち,小学生・中高校生・大学生に区分した3対象を妥当としたうえで,本研究の中心的調査対象である小学生については,「保護者用尺度32項目」「小学生用尺度(低学年)16項目」「小学生用尺度(高学年)32項目」の3種を用意した。さらに,中高生尺度(32項目),大学生尺度(28項目)も作成・実施した。全5放課後生活評価尺度においては,対象者の認知発達の程度と生活環境状況に応じて質問項目の数や表現は変化しても,「具体的な行動への焦点化」「共通の活動概念(交流・運動・安息など)」によって,尺度相互の関連づけがイメージできるよう構想した。さらに小学生に対しては,「安全安心」など本人では評価が難しい環境評価も含めるべきだろうという考えから,保護者が評価を行う放課後活動サポート尺度21項目も構想した。縦断的分析では,放課後子ども教室の設置と連動するかたちでの生活空間評価の変動を認めないという結果が得られた。 以上の構想の元で,小学生対象については5小学校約1200組の保護者-児童を対象に放課後アンケートを実施し,妥当性・信頼性検討に向けて,得られた親子回答を対応づけしてデータベースを作成した。保護者版については,確認的因子分析と既存尺度(学校適応,シャイネス,QOL)回答との相関分析を完了した。またサポート尺度項目については,放課後の居場所点検評価を実施している地域事例を参考として,項目内容の構成吟味を行った(北原・川嶋・佐藤・生駒・蓮見,2013)。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は昨年度実施した調査の結果をもとに研究目的に掲げた「放課後生活空間尺度」の完成を目指す。小学生の保護者用放課後生活空間尺度について,妥当性の検証を行い,ほぼ25項目とする運びとなったが,さらに,尺度項目の精査,特に尺度の信頼性については1ヶ月の間を空けて同じ被調査者による再検査を実施し、検討する予定である。また、有用な尺度の構成へ向けて,妥当性・信頼性の検討以外にも、収集されたデータの構造や特性の検証をさまざまに進めていく。その結果が出れば,小学生の保護者用放課後生活空間尺度が完成となる。 これを核として他の5種の尺度も検討を進める。なお,本研究の中心的調査対象である小学生(低学年)については項目が定まった段階でスマートフォン用アンケートへの実装を行い,従来の質問紙読み上げ式と比較して,その支援効果について検討する。また,児童の生活空間や環境を明らかにする放課後生活サポート尺度については,放課後子ども教室を展開実施中の千葉県我孫子市の協力を得て分析中であり,放課後子ども教室の設置の有無が放課後生活環境尺度(サポート尺度)評定値と関連があるかを分析して,放課後生活環境尺度(サポート尺度)が放課後環境づくりの点検評価に役立つ可能性を探りたい。 本研究は,児童・生徒・学生の放課後の生活を明らかにするとともに,放課後の子ども生活を評価する尺度の作成に寄与するものである。最終的には,統計的処理を行って完成された尺度を使い,各学校段階での児童・生徒・学生の放課後の生活実態を明らかにし、諸外国の子ども達の放課後生活とも比較しつつ、我が国の子どもたちの放課後生活がよりよいものとなるような提言を行う。そして、これらの一連の研究結果を報告書という形でまとめあげる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度末から今年度に研究の集大成となる大掛かりな調査行われたが、その費用の支払いが次年度に持ち越されたために、人件費・謝金が次年度回しとなった。さらに、研究の一部、すなわち、スマートフォン用のアプリケーションを保護者向けに追加する予定であったが,完成にはいたっていない。2014年度は数組の母子にモニターになってもらい,アプリケーションの使用感や改善意見を得て,アプリケーションを完成する予定である。これらの物品費が未使用となった。 次年度は大掛かりな調査のための人件費・謝金の費用と、研究成果を報告するために学会発表やシンポジウムを予定しており、そのための旅費、資料収集のための文献費、資料分析のためのPCソフト、さらに、最終年度のため、これまでの研究の成果を成果物として、報告書にまとめるため、印刷代等に使われる。
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[Presentation] 大学生の放課後の生活空間2013
Author(s)
蓮見元子・北原靖子・川嶋健太郎・佐藤哲康・生駒忍
Organizer
日本心理学会第77回大会
Place of Presentation
北海道・札幌コンベンションセンター
Year and Date
20130919-20130921
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