2012 Fiscal Year Research-status Report
認知的/社会的文脈を統合した学習環境の開発と次世代型カリキュラムへの適用
Project/Area Number |
24530834
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
高垣 マユミ 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (50350567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田爪 宏二 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 教授 (20310865)
清水 誠 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30292634)
白水 始 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 総括研究官 (60333168)
中西 良文 三重大学, 教育学部, 准教授 (70351228)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学習環境 / 教授法 / 科学的創造力 / 協調学習 |
Research Abstract |
平成24年度は、理論的側面から提起する大学教員と実践的側面から吟味する中学校・高等学校の教員とがプロジェクトを組み、認知的/社会的文脈を統合した学習環境と次世代型理科カリキュラムの開発に着手した。 大学教員と研究協力校の中学校・高等学校の教員とが連携してプロジェクト会議を積み重ね、学習指導要領改訂の全面実施に伴いコア概念となった「エネルギー・粒子・生命・地球」の内の、「地球」の学習内容に焦点を当てて、探求活動に携わる協調活動を促す学習環境を開発した。具体的には、「地球」の領域において、肉眼では確認できない実験・観察のため高度なイメージ力、推察力に基づく科学的創造力を必要とする「巨視的現象」を扱う、「地球と宇宙(中学2年)」を研究対象とした。認知的文脈における学習環境としては、生徒の実態を把握した上で、「科学を創る」ために、授業でいかなる知識や生活体験を活用し探究させるのかを議論し、カリキュラム、学習素材、実験・観察方法を開発した。社会的文脈における学習環境としては、科学的協調学習において協調的かつ探求的な協同活動を促すために、学校教育場面にIT技術や情報端末を新たに導入するシステムを開発した。協同問題解決に際して、小集団やクラス全体を結びつけるサーバシステムやクラウドサービスを導入することによって、電子黒板やタブレットを旧来の教授法の延長にとらえるのではなく、社会文化論的アプローチによってなされるアーギュメントデザインとしての新しいインタラクティブなコミュニケーション構造をデザインした。これらの計画・準備に基づき、「地球と宇宙(中学2年)」の理科授業を実践した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、大学教員と研究協力校の中学校・高等学校の教員とが連携してプロジェクト会議を計9回開催して議論を重ね、教育現場で理解が困難であると報告されている「巨視的現象」を扱う「地球と宇宙(中学2年)」の実証授業を実施することができた。具体的には、生徒の実態を把握した上で、科学的思考力を向上させるカリキュラム、学習素材、実験・観察方法を開発することができた。さらに、学校教育場面にIT技術や情報端末を新たに導入するシステムを開発した。科学的協調学習に際して、小集団内での対話や探求のメディアとしてタブレット端末による作図や文字を入力・描画後、構築した説明モデルをクラウドサービスにより共有し、電子黒板によってクラス全体の議論の場で提示した。疑問を議論し合うことで科学的思考力を高める「対話と探求の学び」の場をサポートするシステムを構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に実施した「地球と宇宙(中学2年)」の授業における生徒の授業記録を収集し、以下の複数に挙げる分析ツールを用いた分析結果を統合して、開発した「認知的/社会的文脈を統合した学習環境」の実効性を査定する。具体的には、生徒の実態調査・形成的テスト・事後テストを比較検討する。また、生徒の記述したノートをタブレットのシステム及びドキュメントスキャナを活用して記録し、電子データ化を行う。なお、全時間の授業をVTRとデジタルボイスレコーダーで記録し、量的及び質的な評価データを収集する。授業過程の学習者の発話や相互作用、実験・観察時の行動の観察記録及びトランスクリプトに基づき、解釈的分析を行う。 上述した分析結果から、平成24年度に実施した「地球と宇宙(中学2年)」の授業を反省的に考察し、抽出された修正・改善点を、平成25年度に実施する「遺伝情報とその発現(高校3年)」のより精緻な授業計画へと適用した上で、研究授業を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に実施した「地球と宇宙(中学2年)」の授業分析に関しては、数量的分析を行う統計解析ソフト、及び授業過程の学習者の発話や相互作用、実験・観察時の行動の観察記録の分析を行うための研究支援者雇用費が必要となる。 平成25年度に実施する「遺伝情報とその発現(高校3年)」の授業実施においては、授業で使用する実験・観察の学習素材、教材コンテンツ、電子黒板、タブレット、ドキュメントスキャナ、データを受信する受信機、授業のプロセスを記録する映像、及び音声記録装置一式が必要である。これらに係る費用を計上する。
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Research Products
(8 results)