2012 Fiscal Year Research-status Report
中学生の対人交流・集団活動・学習の意欲と進路意識を向上させる学級集団モデルの開発
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24530836
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河村 茂雄 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40302046)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学級集団 / 教師の指導行動 / 学級集団発達 / 学習意欲 / ソーシャルスキル / 学びあい / 友人関係 / 学級活動意欲 |
Research Abstract |
中学校の教育現場では、「中1プロブレム」に代表される不登校の問題、確実な学習を保障するために1学級の生徒数を削減する議論など、生徒の心理社会面と学習面の両面に対して、教育効果を向上させるための、学級集団のあり方、教師の学級経営の展開方法が問われている。本研究は,中学生の対人交流・集団活動意欲、学習意欲、進路意識の3つの視点と学級集団の状態との関係を実証的に明らかにし、学級集団発達の視点から、生徒の3つの視点を向上させる学級集団の状態像と、その形成モデルを提案することが目的である。本年度は研究の初年度である。 まず、4月末までに調査協力が得られる中学校を確保した。次に、学級集団の状態を調査する質問紙を確定し、生徒相互の対人関係の状況、小グループの実態、学級内に定着している規範やソーシャル・スキルの内容、生徒個人の認知傾向や発達障害の有無、教師の行った指導行動について聞き取る項目・観察するポイントを確定した。その後,生徒に対する調査を行い,データの入力・分析、観察・聞き取り記録の整理を行った。本年の研究活動は,日本カウンセリング学会総会等のシンポジウム,また,学級経営心理学会,生徒指導学研究,教育学研究等で学術論文として発表を行った。 研究の2年目3年目においては、上記の諸々の学級集団の要因の相互の関係を検討し、学級集団発達のプロセスに位置づけて整理し、建設的な学級集団形成モデルを提案する。 どのような学級集団の機能を、より効果的な順序と指導行動で形成すればよいのかを実証的に検証し、教師が学級経営を行う際の指針となるガイドラインを作成し、提案したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年4月末までに下記の内容を完遂した。①調査協力が得られる中学校を確保した,②学級集団の状態を調査する質問紙を確定した,③生徒相互の対人関係の状況,小グループの実態,学級内に定着している規範やソーシャル・スキルの内容,生徒個人の認知傾向や発達障害の有無,教師の行った指導行動について聞き取る項目・観察するポイントを確定した。2012年は調査を実施する年度であり,④データ取得に力を入れて取り組んだ。また,⑤研究協力者が分担して学校訪問し,調査を実施した。その後,入力,分析,観察,記録の整理を行った。このことから調査の進捗状況はおおむね良好であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究計画と方法は下記の通り計画している。 研究実施2年目は初年度同様に,①調査協力が得られる中学校を確保する,②学級集団の状態を調査する質問紙の妥当性および信頼性の確認,③生徒相互の対人関係の状況,小グループの実態,学級内に定着している規範やソーシャル・スキルの内容,生徒個人の認知傾向や発達障害の有無,教師の行った指導行動について具体的に聞き取る,④取得したデータの入力,分析,観察,記録の整理を行う,という手順で進めて行く。 さらに,1学年で学級編成替えになる学級と,そのままの生徒構成で同じ担任教師が持ち上がる学級,生徒構成は同様であるが担任教師だけが代わる場合,という3つのパターンが想定されるため,各パターンの学級集団発達の異同についても,比較検討することを考えている。 さらに,研究実施3年目は,目的とする学級集団形成の発達モデルを抽出し,学級集団の状態を規定する要因を整理する,得られた成果を,成果報告書と,それをわかりやすく要約したヴィジュアルなパンフレットを作成する。同時に関連学会発表,論文執筆,著書出版を行い,広く成果を発信することを計画している。 研究の成果は,研究内容と関連する日本教育心理学会,日本カウンセリング学会,日本教育カウンセリング学会,日本学級経営心理学会等で論文発表,ポスター発表するとともに,シンポジウムを主催し,他の研究者及び学校現場の教師に意見を求めることも行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費は下記の通り使用を計画している。 前年度からの継続的な検討を行うために,調査協力が得られている中学校生徒分の,心理尺度(楽しい学校生活を送るアンケートQ-U,集団準拠テストNRT)を購入する予定である。また,それに伴い,調査用紙・資料郵送費や質問紙印刷費などにも研究費を使用する予定である。 さらに,調査対象校の教職員への聞き取りや学級の観察などを行うために,各学校へ赴くための交通費や宿泊費,および,データ入力・分析・整理などにかかる人件費としても研究費を使用する予定である。
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Research Products
(9 results)