2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530841
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Research Institution | Nagoya University of Arts |
Principal Investigator |
木村 美奈子 名古屋芸術大学, デザイン学部, 講師 (50457917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 義信 名古屋芸術大学, 人間発達学部, 教授 (00036675)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人形 / 幼児期 / 外的表象 / 表象性理解 / ぬいぐるみ |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者らはこれまで、幼児を対象に、映像などの2次元に表現された外的表象の理解の発達を調べてきた。その結果、実在と混同せず表象として理解するまでには、幼児期を通じて長期にわたる“ゆらぎ”の段階が存在することがわかった。そこで本研究では、外的表象の中でも、3次元的に表現されている人形やぬいぐるみを表象として理解する過程を調べることとした。1年目は、人形を表象として理解する過程を分析するための理論的枠組みを検討するため、研究会等で積極的に研究発表を行い、幅広い知見を集めた。それをもとに、実物との類似性の異なる3種類の人形と3種類の犬のぬいぐるみを使用して、5歳児を対象とした実験を実施した。人形の課題では、人形がモノの隠し場所を見て、その知識を保持できるか、またぬいぐるみの課題では、ぬいぐるみがモノの温かさを触知し、それを他者に伝えることが出来るかについて、子どもの認識を調べた。その結果、人形・ぬいぐるみとも実物との類似性に関係なく、多くの5歳児に人形やぬいぐるみを実在視するかのような反応が見られ、3次元的な外的表象に対しても、その理解の過程には“ゆらぎ”の段階が存在することが確かめられた。2年目は、1年目の結果を踏まえ、新たな実験を考案するために、子どもが日常生活の中でどのように人形やぬいぐるみで遊んでいるかを観察した。3年目には、これまでに行った実験の結果をまとめ、二つの学会で発表した。そして、この結果と観察をもとに新たな実験を考案し、実施する予定であったが、年度内に終了しなかった。期間中、人形の認知的側面を付与した際の子どもの理解を調べる研究を実施したので、次には人形に情動的側面を付与した場合を調べる研究に発展させたい。認知的側面の付与より情動的側面の付与の方がより実在との混同が容易に起こると予測される。今後、実験の計画を立て、さらに追求したい。
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