2014 Fiscal Year Research-status Report
子どもの心的表象能力を育てることば:その原点と役割機能の検証
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24530843
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
辻 弘美 大阪樟蔭女子大学, 心理学部, 教授 (80411453)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心の理論 / コミュニケーション / トレーニング / 幼児教育 / 視点取得 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、心的状態語を用いたコミュニケーションが他者の心の理解発達を促進する効果を検討する為に、先行研究をもとに独自の「コミュニケーション・トレーニング」を開発し、保育の場においてコミュニケーション・トレーニングを実施し、その効果測定を行った。 これらの取り組みをとおして確認できたことは、4歳児を対象に行ったトレーニングにおいては効果がみられたが、3歳児を対象に行った同一のトレーニングからは他者理解促進の効果は認められなかった。また、5歳児を対象として、プログラムに組み込まれたトレーニングの要素ごとにその効果を検討したところ、それぞれの要素のトレーニングが子どもの異なる側面の理解を促進していることを示唆する結果が得られた。 これらの結果は、関係教育機関における保護者向けの報告会等で報告を行った。また、対象となった幼稚園での教員向けの研修会では、研究結果を受け、発達段階にあわせたプログラム活動の展開の重要性について話題提供し、このたびのプログラムをどのように発展させることが可能かについて具体的な方向性を提案したところ、H27年1月から3月まで、継続的に幼稚園教員中心の取り組みが幼稚園にて実施されるに至った。これらの取り組みの評価する場として、H26年度末には対象幼稚園教員の実践報告への助言を行った。 また、国内外の学術集会においては、ポスターおよび口頭発表を通して、研究成果を報告するとともに、発表場面での質疑応答から得られた情報をもとに、学術雑誌への投稿論文執筆のための準備を行った。 今年度の研究成果の報告において、研究成果が活用される可能性の高い幼児教育機関むけの発信の土台作りができたことにより、引き続きH27年度には、これらをもとに研究知見の社会への発信を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展していると考える理由は、研究成果を社会に向けて発信するという目的で、H27年度の計画にあげた、「教育・保育の場でワークショップなどを開催すること」が、協力幼稚園との連携がうまく進み、すでに実施できたことにある。実証研究部分についても、一般社会に説明可能な明確な根拠を得ることができたことから、当初の計画以上に進展できたと解釈した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進の方向としては、コミュニケーション・トレーニングの効果に関する研究成果を、引き続き国内外の学術集会にて発表するとともに、学術雑誌に論文として投稿することと、社会に向けて研究知見を発信するための伝達手段を、研究結果の内容に併せて検討していくことである。引き続き教育機関での公開講座、ワークショップの実施に加え、教育機関向けのリーフレットの作成の具体を検討し、作成していく。将来的には、研究の成果を学術的側面と実践的側面の両側からアプローチした、これまでにない著書の執筆を計画している。
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Causes of Carryover |
H25年度に計上していた研究成果発表のための旅費を、招待講演もかねていたことから学会側が負担したことにより、予定していた旅費申請を行わなかったことが主な理由である。また予定していた謝金支払い分のアルバイトが一部依頼できず、研究代表者が代わりに作業したことから、払い出す必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題に関連する領域の学会参加を通して、次の研究課題の展開を見据えた情報収集のための旅費として使用を予定している。
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Research Products
(6 results)